≪声明≫ 日本政府の核兵器禁止条約不参加に抗議

2017/03/28

声明・談話

≪声明≫
核兵器禁止条約交渉会議への日本政府の不参加表明に断固として抗議する


2017年3月28日 日本平和委員会

 安倍政権は、3月27日に行われた国連での核兵器禁止条約交渉会議のハイレベル会合に高見澤軍縮代表部大使らを出席させ、この交渉会議への不参加を表明した。私たちは、広島・長崎の被爆者はじめ被爆国日本国民の願いに完全に背を向けたこの暴挙に、満身の怒りを込めて抗議し、この交渉会議に参加することを求めるものである。
 安倍政権は高見澤発言で、核軍縮と国家安全保障のバランスを説いている。しかし、この人類絶滅をもたらす非人道兵器を安全保障の道具として位置付ける思想こそ、核軍拡の悪循環をもたらし、人類を絶滅の危機に追い込んでいる元凶である。いま開始された核兵器禁止条約交渉会議は、これを乗り越えようとするものである。被爆国日本政府はこの立場にこそ立たねばならない。
 またその発言では、北朝鮮の核ミサイル開発が「現実で差し迫った安全保障問題」となっているから、禁止条約締結は現実的でないというような議論を展開している。しかし、だからこそ、北朝鮮も含めてすべての国の核兵器を非合法化し禁止する条約が求められているのではないか。
 同発言はさらに、核保有国を含む信頼関係を積み上げ、核兵器の数を「最小化」し、その上で禁止条約をつくることが現実的などと言っている。しかし、「核抑止力」を前提にした交渉は決して核の「最小化」をもたらすことはないし、廃絶への展望も生み出さない。それは、「最小化」どころか、核軍拡と核の拡散をもたらしてきたのである。だからこそ、圧倒的多数の国々が禁止条約締結に向けて動き始めているのである。
 同発言はまた、“NPT体制による核軍縮・不拡散体制で核兵器のない世界の達成を”とも主張している。しかし、2010年NPT再検討会議が「核兵器のない世界」の実現を確認し、その「枠組み」をつくり、維持するためにすべての国が「特別の努力」を行うことに合意したにもかかわらず、その履行に背を向けてきたのが核保有国ではないか。だからこそ、核兵器廃絶を求める圧倒的な国々が、国連での交渉会議開催を求めてきたのである。これは、その経過をまったく無視した議論である。
 極め付きは、核保有国が参加しない条約では一発も核兵器が減らず、無意味だと言い切っていることである。しかし、当初、保有国が入らなくても、圧倒的多数の国々が国連憲章上のルールに沿って禁止条約に合意するなら、核兵器は違法と宣言され、核保有国は政治的にも道義的にも大きく拘束され、孤立を深めることになるのは必至である。それこそが核兵器のない世界へ近づく大きな一歩なのは明白である。
 結局、安倍政権の立場は、核保有国が許容する枠内でしか交渉しないという、まったく主体性のない態度である。ここには、被爆国政府として核兵器のない世界を実現する気概も、イニシアティブも全くない。
 私たちは、このような反人類的な安倍政権の姿勢を厳しく批判する。同時に私たちは、この政策を転換させ、また、この交渉会議で核兵器禁止条約が実現させるよう、「ヒバクシャ国際署名」を圧倒的に広げるため、さらにいっそう奮闘する決意を、ここに表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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