日米共同統合実動演習への米軍・自衛隊オスプレイの大量動員と相次ぐ事故に抗議し飛行中止を求める
2024年10月29日 日本平和委員会
日米政府は、昨年11月29日に発生した屋久島沖での米軍CV22オスプレイの墜落事故原因が究明されないまま、10月23日~11月1日にかけて九州・沖縄を中心に全土で繰り広げられている日米共同統合実動演習「キーン・ソード25」に、米軍・自衛隊のオスプレイを多数参加させ激しい演習をくり広げ、この中で自衛隊オスプレイが連続して事故を起こす事態が生まれている。
10月23日には、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地に陸上自衛隊木更津駐屯地所属のⅤ22オスプレイ1機が緊急着陸した。陸自によると、機体は23日午前、徳之島の手々浜海浜公園での離着陸訓練で使用。高遊原分屯地(熊本県)へ戻る途中にエンジンの油圧系統に異常を探知し、危険回避のために予防着陸した。
続いて10月27日には、陸自与那国駐屯地(与那国町)に飛来していたⅤ22オスプレイ1機が、同駐屯地内で離陸しようとした際に、機体が左右に揺れて不安定な状況となり、左翼下部が地面と接触して機体が損傷した。陸自は事故原因を調査し、対策を部隊に徹底させるまで同型機の飛行を見合わせることを決めたとしている。
これら一連の事態は、オスプレイの危険性を改めて示している。そもそもオスプレイについては、昨年11月29日に鹿児島県屋久島沖で起きた米軍CV22オスプレイの墜落事故の原因も究明されないまま、飛行再開が強行されてきた。米軍事故調査委員会が発表した事故調査報告書(8月2日)は、「(事故原因となった)高速遊星ギアの部品の故障の正確な根本原因は、二次的な損傷により初期故障の証拠が不明確になったため、特定できなかった」と明記している。クラッチの接続の不具合で機体が制御不能になるハードクラッチ・エンゲージメント問題も「なぜクラッチの不接合が起きるのか?」が解明されずに飛行が続けられている。米海軍航空システム司令部のカール・チェビ司令官も米下院公聴会で「再設計されたクラッチを取得するまでは、リスクは排除できない」と明言している。だからこそ、いまもオスプレイには、何か問題が発生した場合にすぐ戻れる飛行場から30分以上離れて飛行しないという「飛行制限」が適用されている。
そもそもオスプレイは、開発段階から「高い振動負荷(飛行中に受ける空気の力や気流の影響による振動や衝撃)は、非常に可動部の多い複雑な機体構造と複雑な油圧システムの組み合わせによって、油圧、電機、機械の各システムに問題を発生させ、これらのシステムについて高率の故障の誘因になっている。これらの故障は安全性に重大な影響を及ぼす」(米国防分析研究所の元主任研究分析官レックス・リボロ氏の報告書、03年12月)と指摘されてきた欠陥機である。
このような欠陥機を飛ばし続けることは許されない。玉城デニー沖縄県知事も、同演習へのオスプレイ使用の自粛を申し入れ、事故を受け、「運用面での危険な状態に至る一歩手前の状態が日常化しているのではないか」と警鐘を鳴らしている。
私たちは、ここに改めて、同演習でのオスプレイの飛行中止をはじめ、米軍・自衛隊のオスプレイ全機の飛行停止と撤去を断固として求めるものである。同時に、沖縄・南西諸島と全土を戦場にすることを想定した日米共同統合実動演習の即時中止を求めるものある。