――参議院選挙に向け、平和の審判を下そう――
2025年2月8日 日本平和委員会
石破首相は2月7日、ワシントンDCでトランプ米大統領と日米首脳会談を行い、共同声明を発表した。
トランプ大統領は就任後、地球温暖化防止のパリ協定から離脱し、パナマ運河とグリーンランドの支配権をうるための武力行使の可能性を公言し、ガザからのパレスチナ人の移住と米軍による占有を唱え、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出した国際刑事裁判所当局者への制裁を行う大統領令に署名するなど、国連憲章と国際法に基づく国際秩序や人類が取り組むべき緊急課題に背を向ける姿勢を露わにしている。石破首相は会談で、そのふるまいに一切の批判を行わず、ひたすらおもねり、「日米同盟の対処力、抑止力」を強化することを確認し、2027年度以降も大軍拡を続けることを誓約した。それは、世界に恥ずべき卑屈な対米追随の態度であり、「日米同盟絶対」の立場がいかに危険で屈辱的かをまざまざと示している。
日米首脳会談と共同声明では、「日米関係の新たな黄金時代を追求する決意を確認」し、「日米同盟を新たな高みに引き上げる」方向が合意された。米国は、「核を含むあらゆる能力を用いた」日本防衛へのコミットメントを誓約。日本は戦争法(平和安全法制)をテコに、「平時から緊急時に至るあらゆる状況への切れ目ない対応により、インド太平洋地域の平和及び安全を維持していく上での自らの役割を再確認」した。そして、米軍・自衛隊の指揮・統制機能の一体化、南西諸島の軍事態勢強化、実戦的訓練・演習の強化、米国の核兵器威嚇態勢(拡大抑止)の強化、日米の軍需産業の育成と共同生産・開発の推進などを確認した。そして、安保3文書にもとづく、2023年度から5年で43兆円超の大軍拡計画を称賛し、「この重要な基盤の上に、2027年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎した」と、国民に諮ることもなく、27年度以降のさらなる大軍拡の推進を米政府に誓約した。
これは、アメリカの核兵器にしがみつき、空前の大軍拡をさらに巨額なものへと増大させ、米国の核軍事戦略に自衛隊と日本を組み込み、日本を核戦争へ巻き込む重大な合意である。それが国民生活のさらなる破壊をもたらすことは明らかである。
首脳会談では、米兵犯罪が繰り返され隠蔽されてきた沖縄の現実と、米軍基地縮小、地位協定改定を求める県民の声には一切触れず、民意を無視した辺野古新米軍基地建設を推進する立場を改めて表明した。あらゆる点で建設の見通しの全くない、環境破壊の浪費そのものの新基地建設阻止は即刻中止すべきである。
いま、日本政府がやるべきことは、日本被団協のノーベル平和賞受賞を機に全国に広がる核兵器禁止条約への参加を求める声に応え、同条約に一刻も早く参加することである。日米軍事同盟強化、大軍拡をやめ、憲法9条を活かした平和外交を進め、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力し、この地域のすべての国を包摂する平和の枠組みを創出するため、方向転換することである。私たちはこの立場から、来る参議院選挙で、「日米同盟絶対」で大軍拡・戦争国家づくりを進める石破政権とその補完勢力に厳しい審判を下すため、全力を挙げる決意を表明するものである。