2024年8月3日 日本平和委員会
米空軍は、8月1日、昨年11月29日に鹿児島県屋久島沖で発生した米空軍横田基地所属のCV22オスプレイの墜落事故に関する事故調査報告書を発表した。
防衛省が発表した事故報告書の概要によれば、左側の円筒部分でエンジンの動力を「プロップローター」に伝えるギアボックス内で、高速に回転する「ハイスピード・ピニオンギア」と呼ばれるギアにひびが入って破断し、その破片がギア間に挟まったことで別のギアが摩耗し、エンジンからの動力を伝えられなくなって墜落したということである。
報道によれば、報告書には、「故障の正確な根本原因は、初期の故障の証拠を不明瞭にする二次的な損傷のために特定できなかった」と明記されているという。
つまり、ピニオンギアの破断が原因だが、なぜ破断が起こったのかの原因は不明だということである。こうした事故が再び発生する危険性は除去されていないのである。米軍は2022年9月22日にピニオンギアの改良の発注を行っている。ピニオンギアに不具合が起こる危険性を認識して飛行を続けてきた可能性が濃厚である。
防衛省は、この事故報告書を受けてもなお、「日米間ではこれまで前例のないレベルで技術情報に関するやり取りを行ってきており、安全対策の措置を講じることで、同様の事故を予防・対処し、安全に飛行」できると強弁している。しかし、その対策なるものは、「予防点検と維持整備の頻度の増加」「整備記録の確認」「緊急時の手順の更新」「緊急着陸のための飛行場に着陸するまでに必要な飛行時間を制限する」など、いずれも、事故が起こることを前提とした対処療法に過ぎない。事故を根絶する根本的対策は明示されていない。故障の原因が特定されていないのだから、根本的対策が明示できないのは当然である。
オスプレイをめぐっては、クラッチの不具合で機体が制御不能になり墜落に至るオスプレイ特有の現象「ハード・クラッチ・エンゲージメント」(HCE)についても、米海軍航空システムのチェビ司令官が「リスクを除去できたわけではない。再設計されたクラッチを持つまではリスクを除去したことにはならないだろう」と米議会下院公聴会で明言している(6月12日)。
オスプレイがいつ故障し墜落するかしれない、重大な欠陥機であることは、今回の事故報告書からも明らかである。このような欠陥機を米軍・自衛隊合わせて10機も投入し、米海兵隊と陸上自衛隊の大規模演習「レゾリュート・ドラゴン」をくり広げているのは、市民の命と安全に対する重大な挑戦と言わねばならない。私たちは、ただちにオスプレイの訓練参加を中止すること、そして、米軍・自衛隊のオスプレイの飛行を全面的に中止し、すべて撤去することを、断固として求めるものである。