【声明】日米安保協議委員会と拡大抑止閣僚会合について

2024/07/29

声明・談話

 

日米安全保障協議委員会及び拡大抑止に関する日米閣僚会合について
―日米軍事同盟の危険な変質をさらに推し進める動きに反対する国民的運動を呼びかける―

2024年7月29日 日本平和委員会


 一、日米両政府は、7月28日、外交・軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(「2+2」)を開催し、4月の日米首脳会談・日米共同声明で確認された日米軍事同盟を変質させる方向をさらに具体化することで合意した。
 4月の共同声明では、米国の戦略に日本を深く巻き込み、米軍・自衛隊の指揮・統制機構を一体化し、米軍の指揮の下に自衛隊を他国攻撃へ動員する従属的軍事同盟強化の方向が確認された。今回の日米安全保障協議委員会では、この「同盟調整、指揮・統制の向上」について、「在日米軍をインド太平洋軍司令官隷下の統合軍司令部として再構成する」方向が明記された。つまり、現在は作戦指揮権のない在日米軍司令部を、インド太平洋軍司令官の作戦指揮権の一部が委譲された統合軍司令部とすることである。この統合軍司令部が自衛隊統合作戦司令部のカウンターパートとなって、「平時及び緊急事態」に米軍・自衛隊が一体となった共同軍事作戦をくり広げることができる体制をつくろうというのである。圧倒的な軍事力・情報力を持った米軍の指揮の下に自衛隊が組み込まれるものとなることは明らかである。日米安全保障協議委員会では、これを具体化するための作業部会が設置されることとなった。
 この米軍・自衛隊の指揮・統制機構の一体化は、今回の合意で「同盟の抑止力・対処力をさらに強化」する優先分野として挙げられている「同盟のスタンド・オフ防衛能力(=敵地攻撃能力)の向上」「日本の南西諸島における同盟活動の強化」と一体のものである。いま進められている日米軍事同盟強化・大軍拡の路線は、自衛隊を米国の対中軍事包囲網に動員し、中国と軍事的に対峙する南西諸島を中心にスタンド・オフミサイル=長射程ミサイルを増強・配備する態勢をつくることに重要なねらいがある。それゆえ、このミサイルを発射するのは、米軍の作戦と指令に基づくものとならざるをえない。日本の敵地攻撃能力を米国の指令で発動し、他国を攻撃し、沖縄・南西諸島はじめ日本が戦場になる――これは、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」した日本国憲法の精神を根本から蹂躙するものである。日本を破滅的な戦争へと導く戦争国家づくりを断じて許してはならない。私たちはこの道を食い止めるために、全力をあげる決意をここに表明する。

 一、許しがたいのは、沖縄・南西諸島を戦場化するこのような軍事同盟強化の路線をすすめながら、この間、沖縄で起きた少女暴行事件をはじめとする米兵による凶悪犯罪と、その事実の隠ぺいについて、一切の謝罪もなく、ただ「事件や行為を防ぐために、在日米軍によって実施されるとりくみを前向きに評価した」としていることである。そして、その一方で、辺野古・大浦湾の米軍新基地建設を強行する立場を明確にしていることである。沖縄県民の尊厳と願いを二重三重に踏みにじるこのような態度は、断じて許されない。少女暴行事件をはじめとする凶悪犯罪と事実の隠ぺいを謝罪し、全ての米兵犯罪の迅速な情報提供を行なうべきである。そして、新基地建設を中止し、米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本改定を実行すべきである。

 一、日米安全保障協議委員会と合わせて開かれた「拡大抑止に関する日米閣僚会合」の内容も重大である。これは、4月の日米共同声明において「日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止(※いざという場合の核使用態勢)を引き続き強化することの決定的な重要性を改めて確認し、二国間協力をさらに強化していく」「次回の『2+2』の機会に、拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行うよう、日米それぞれ外務・防衛担当閣僚に求める」と合意したことの具体化である。これまで、事務レベルで積み重ねられてきた拡大抑止協議の内容を閣僚レベルに格上げして、追認し、アメリカの核兵器使用体制を強化し、これを日本の軍拡で補完する態勢の強化を、公然と進めようとするものである。
 これまでの拡大抑止協議では、「米国の戦略アセット(核兵器搭載可能兵器)の可視性を増大させる」ことを確認し、B52戦略爆撃機と航空自衛隊戦闘機との共同訓練などを激増させ、核兵器使用を想定した省庁間机上演習を公然と行うまでになっている。こうした動きをさらに強化しようとするものに他ならない。
 こうした閣僚会合を広島・長崎への原爆投下から79年目を迎える直前の時期に行ったところに、岸田自公政権が核兵器禁止・廃絶を求める被爆国民の願いとかけ離れた、危険な核兵器固執政権であることが示されている。
 私たちは、世界の核兵器禁止・廃絶を求める大きな流れに背を向け、アジアでの核戦争の危険を高める岸田自公政権の姿勢に断固として抗議し、核兵器禁止条約に参加する政府を実現するため、全力をあげる決意を表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

自己紹介

自分の写真
日本平和委員会は、北海道から沖縄までの津々浦々で、草の根から平和を築くために活動しているNGO(非政府組織)です。

こちらのブログは「平和新聞」掲載の記事を中心に紹介しています。

ご入会・ご購読、絶賛受付中です!

日本平和委員会→ http://j-peace.org/

このブログを検索

アーカイブ

ラベル

QooQ