【声明】次期戦闘機の輸出拡大閣議決定に抗議する

2024/03/26

声明・談話

 殺傷武器=次期戦闘機輸出解禁の閣議決定に抗議し、撤回を求める

2024年3月26日 日本平和委員会

 岸田政権は本日、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する閣議決定(「防衛装備移転三原則」運用指針の改悪)を強行した。
 次期戦闘機は与党・公明党自ら「最先端の殺傷能力を持つ兵器の完成品」と呼ぶ、対地攻撃能力も持った紛れもない殺傷武器である。世界各地への輸出を認めることは、殺傷武器=人殺しの武器を公然と輸出することに足を踏み出すことに他ならず、歴代政府が憲法9条にもとづく「平和国家」の原則の一つとしてきた武器輸出禁止の原則を根本から抹殺するものだ。ガザの惨状を見れば、イスラエルの武器貿易がジェノサイドを支えていることは明らかであり、武器の流通が紛争を助長させていると言っても過言ではない。
 次期戦闘機の第三国輸出を国会の正式審議も経ず、密室の与党協議と閣議決定だけで強行した岸田政権の民主主義蹂躙の暴挙に、満身の怒りをこめて抗議し、その撤回を求めるものである。
 閣議決定では、輸出対象を次期戦闘機に限るとしているが、いったん明々白々な殺傷武器の輸出に踏み出せば、次々と殺傷武器の輸出がおしすすめられることになることは必至である。また、▶輸出先を日本が防衛装備品・技術移転協定を締結する国に限定する、▶現に戦闘が行われていると判断される国は輸出先から除く、などとしているが、移転協定は閣議決定だけで締結・変更でき、対象国をいくらでも増やすことができる。また、「現に戦闘」していなくても、一度輸出されれば将来戦闘に使用される危険があることは明らかである。これはまったく「歯止め」にならない。現に、自民党の小野寺五典元防衛相は、「新しい案件は次々に追記していけばよいだけで何の制約もない」と明言し、自民党内からは「未来永劫(移転協定を結んでいる)15カ国なわけじゃない。必要があれば20、30カ国と増やせばよい」との声が上がっている(東京新聞3月16日)。
 岸田首相は「移転先を国連憲章の目的と原則に適合した使用に限定する」などとしているが、そもそも日本政府はベトナム侵略戦争やイラク侵略戦争はじめ、国連憲章違反のアメリカの無法な戦争に一度も反対してこなかった。政府が「国連憲章の原則に適合した原則に限定する」と言っても、まったく説得力がない。
 次期戦闘機の輸出解禁に関する閣議決定は、世論の強い反対の前に大幅に遅れざるを得なかった。閣議決定を強行したものの、その開発はこれからであり、運用開始予定は2035年である。さらに反対世論を高めて、この開発と輸出を断念させることは可能だ。同時に、政府はこれに続き、5類型(救難、輸送、警戒、監視、掃海)の要件を緩和し、殺傷武器輸出の全面解禁をもねらっている。こうした動きを許さないためにも、憲法9条にもとづく一切の武器輸出を禁止する原則に立ち戻らせるためにも、いっそう世論と運動を高めなければならない。そのために私たちは、殺傷武器輸出反対・一切の武器輸出禁止を求める署名を国会会期末に向けてさらに広げる決意をここに表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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