【声明】オスプレイの運用再開受け入れに抗議し、全機撤去を求める

2024/03/11

声明・談話

米軍オスプレイの運用停止措置の解除と
日本政府による受け入れに断固抗議する

――米軍・自衛隊オスプレイの全機飛行停止と撤去を求める――

2024年3月12日 日本平和委員会

 米軍は3月8日、輸送機オスプレイが昨年11月29日の鹿児島県屋久島沖での墜落事故を受けて行ってきた飛行停止措置の解除を決定した。これを受けて防衛省は、ただちに「日米間の確認作業において、事故の原因となった部品の不具合は特定されたと認識しており、当該不具合に対する各種の安全対策の措置を講じることで、安全に運用を再開できると考えています」との態度を表明し、運用再開の日程調整をすすめるとしている。
 これは、市民の生命と安全をないがしろにした、軍事優先の無責任極まる決定と受け入れ表明であり、断じて許すことはできない。日米政府に対し、オスプレイの運用中止と全機撤去を断固として求めるものである。
 第1にそれは、事故原因の究明と根本的対策抜きの無責任極まる運用再開決定である。米海軍航空システム・コマンドのプレスリリースでも、「部品の不具合に対処し、安全な運用再開を可能にするため、整備及び手順の変更が実施された」とされるだけで、どの部品の不具合による事故であり、その不具合の原因は何であり、それに対応するどのような根本的対策が行われたのかについては、まったく触れられていない。ただ単に、「整備及び手順の変更が実施された」とするだけである。
 2月20日の米空軍特殊作戦コマンドの発表では、「発生した物質的不具合は判明しているが、その原因は特定されていない」「事故調査報告書が公表される前に、(事故調査)委員会の長から遺族に対して直接説明を行う」とされていたが、事故原因についての報告書が発表された形跡はない。
 米下院監視・説明責任委員会のジェームズ・カマー委員長も3月6日に声明を発表し、「国防総省は、監視委員会と米国民にこの航空機の安全性についての回答を提供していないにもかかわらず、運航停止命令を解除している」「十分な情報をまだ受け取っていない」「深刻な懸念が残っている」と述べている。
 沖縄県はじめ多くの自治体が「事故原因が究明されない中での飛行再開は決して許されない」と表明しているのは当然のことである。政府はただちに運用停止措置解除受け入れを撤回すべきである。
 第2に、今回の問題だけでなく、オスプレイは他にも様々な構造的欠陥を抱え、その根本的解決策も明らかにされていない明白な欠陥機であり、運用再開など断じて許されない。今回の事故では、プロペラローターギアボックスが関与する事故の可能性が指摘されている(AP通信、2月20日)。クラッチの不具合により、制御不能に陥るハード・クラッチ・エンゲージメントの原因もいまだに解明されていない。回転翼機に不可欠なオートローテーションが欠如している根本問題も抱えている。さらにこの間、米国防総省の「運用試験・評価局」の年次報告書(2024年2月1日公表)が米海軍のCMV22オスプレイについて、「氷結防止装置」など多くの不具合が作戦任務の失敗の44%を占めていると指摘し、「運用に適さない」と勧告したことも明らかになっている。米国予備役将校協会もオスプレイに「重大な欠陥があることを示唆する証拠が山積している」と指摘し、即時飛行中止を求めてきた(昨年11月29日の声明)。このような重大な欠陥機の運行を再開することは、決して許されない。
 今回運行を再開しようとしているのは、「オスプレイは米国の防衛を支える上で不可欠な役割を果たしており…米国の国益を支える上で極めて重要」(米海軍航空システム・コマンド)と明言しているように、市民や乗員の命や安全よりもあくまでアメリカの軍事的要求を優先するからに他ならない。日本政府がこの米国の決定をまたも無批判に受け入れる姿は、市民の命の尊厳に背を向けた、最悪の対米従属姿勢と言わなければならない。
 私たちは岸田政権に対し、オスプレイの運航再開の決定受け入れを撤回し、日本に配備された米軍及び自衛隊のオスプレイの全機撤去を求めることを、断固として求めるものである。 

カウンター〈21/06/18-〉

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