民主主義と地方自治を破壊する最高裁の沖縄・辺野古新基地建設不当判決に抗議する
2023年9月5日 日本平和委員会
沖縄県名護市の米軍新基地建設をめぐり、軟弱地盤に伴う地盤改良のための設計変更申請を不承認とした沖縄県に対する国土交通相の「是正指示」は違法だとして、県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は9月4日、県側の上告を棄却する不当判決を下した。
これは、歴代自民党政権による県民の民意も地方自治も無視した基地押し付けを容認する、極めて不当な判決であり、我々主権者として断じて容認することはできない。
判決は、法定受託事務をめぐって国が知事の処分を取り消す裁決をした場合、「知事は裁決の趣旨に従って処分する義務を負う」とする。これでは、国と対立した場合、自治体は国に従う他ないということになる。自治体の自主性や自律性、憲法が定める地方自治の本旨を踏みつけにする、時代逆行の不当判決と言わねばならない。
そもそも、この裁決は、政府が沖縄県の不承認処分に対し、国民の権利救済の制度である行政不服審査制度を乱用し、国が私人になりすまして、県の判断を取り消させたことに由来しており、手続き的にもまったく不当なものである。このような不当な判決にもとづき新基地建設を押し付けることなど、断じて許すことはできない。
県は、この計画が、広大な軟弱地盤の強度について正確な測定も行っていないずさんなものであり、この計画を進めても工事は完成しないか、完成しても崩壊する危険があり、県民の環境と安全を守るためにも認められないこと。また、今後工事を進めても完成まで最低9年以上、正確には何年かかるかさえ見通せず、経費もどれだけ膨張するかしれない無謀な計画であり、「一刻も早い普天間基地の危険性除去」という目的にも沿わない計画であることを厳しく指摘してきたが、判決はこうした指摘にまったく答えていない。
そもそも、この基地建設計画に対しては、沖縄県民は3度の知事選挙や県民投票などで、明確な反対の意思をくり返し示してきた。政府は、憲法の定める民主主義と地方自治の理念に立って、ただちに工事を中止し、計画を撤回すべきである。
もし工事を強行したとしても、水面下90㍍まで広がる軟弱地盤や大量の埋め立て土砂や膨大な数に上る作業船の確保、環境保全などの課題は何ら解決しておらず、強力な県民の反対運動と相まって、建設の見通しは全く立っていない。その強行は、「人類共通の財産を地球上から消失させた壮大な愚行として後世に語り継がれる」(故翁長雄志前知事)ことになることは必至である。しかも、この基地は欠陥機オスプレイなどが拠点とする米軍のアジア諸国への攻撃戦略にもとづく出撃基地であり、沖縄・南西諸島の軍事要塞化と相まって、日本とアジアの平和に逆行するものと言わなければならない。このような基地建設は日本国民にとって百害あって一利ない。ただちに、全面的に中止すべきである。
私たちは、今後とも沖縄県民と連帯し、全国で「辺野古・大浦湾の埋め立て許すな、新基地建設反対」の運動をくりひろげる決意を、ここに表明するものである。