米海兵隊MV22オスプレイ訓練の最低高度を国内法違反の60mへと引き下げる日米合同委員会合意に断固抗議し、撤回を求める
2023年7月8日 日本平和委員会
防衛省は7月7日、日米合同委員会でMV22オスプレイの飛行訓練における飛行高度制限を60mに緩和し、沖縄以外の「住宅地を避けた山岳地帯」で高度60mから150mの低空飛行訓練を行うことで合意した。
日米合同委員会は昨年9月27日~10月28日、最低高度を90mに下げる措置を暫定に的に取り、訓練を行った。これを60mにまで下げ、全国で恒常的に超低空飛行訓練を行うことができるようにするものである。
日本の航空法が最低安全高度を人・家屋密集地域では最も高い障害物の上端から300m、それ以外の地域では150mと定めているのは、事故が発生した場合の被害をできるだけ少なくするためである。この市民の命と安全を守るために決められた日本の国内法による制限を無視し、日米合同委員会が勝手に飛行高度の制限を引き下げることは、断じて許されない。それは、アメリカの軍事的要求のために市民の命と安全を危険にさらす、売国的な合意と言わなければならない。
合意は「住宅地を避ける」などと言うが、国土の狭い日本は山岳地帯の随所に住宅地が散在しており、それは不可能である。しかも、米軍はこれまでも「住宅地を避ける」と言いながら、各地で住宅地上空の低空飛行訓練をくりひろげてきた。この合意が実行されれば、全国各地で欠陥機オスプレイの超低空飛行訓練が横暴勝手にくりひろげられる危険がある。市民の命と安全、日本の主権を守る立場から、この日米合同委員会合意の撤回を断固求めるものである。
合意では、この超低空飛行訓練が「人員・物資の輸送にあたり、敵のレーダーからの捕捉や対空火器からの攻撃を回避したり、緊急事態における捜索・救難活動に当たり、要救助者を上空から判別・早期発見したりするために必要不可欠な」実践的訓練であり、日米同盟の抑止力・対処力、即応性を高めるものだとしている。これは、米海兵隊がいま進めている、南西諸島などの島々を臨時攻撃拠点として対中国攻撃を行う機動展開前進基地作戦(EABO)などにもとづく、実戦的訓練だと考えられる。これは「日本や島を守る」どころか、島々と日本を戦場にすることを前提とした破滅的作戦である。そして、これに自衛隊を動員する態勢をつくるのが、岸田大軍拡路線に他ならない。このような、日本を戦場化しかねないアメリカの戦略のための訓練で、市民の命と安全を危険にさらす――この点でも、今回の合意は許されない。
私たちは、今回の合意の撤回とオスプレイの低空飛行訓練の中止及びその撤去、米軍にも国内法を適用するよう日米地位協定を抜本的に改訂することを、ここに改めて強く要求するものである。