ロシアによるベラルーシへの戦術核兵器配備の撤回を求める
２０２３年３月２７日 日本平和委員会
ロシアのプーチン大統領は３月25日放送の国営テレビで、ロシアが戦術核兵器を隣国ベラルーシに配備するとし、その保管施設を７月１日までに建設すると表明した。また、ベラルーシに核運用可能なロシアの弾道ミサイルシステム「イスカンデルⅯ」をすでに供与し、ベラルーシ軍用機１０機を核兵器が運用できるよう改修したとも明らかにした。
ロシアはこの間、核兵器使用の威嚇を様々な形で行いながらウクライナ侵略を進めてきたが、今回の措置はその危険をいっそう高めるものであり、断じて許すことはできない。
ロシアは、米国がＮＡＴＯ諸国に戦術核兵器を配備していることを理由にこれを正当化しようとしている。米国・ＮＡＴＯのこの措置も、核兵器の直接・間接の移譲・受領を禁じた核不拡散条約（ＮＰＴ）に違反するものであり、私たちは反対である。しかし、これをもってロシアの今回の措置が正当化されるものではない。それは、核態勢強化の悪循環を激化させ、核戦争の危険を高めるものでしかない。
私たちは、核兵器による威嚇と他国への核兵器配備を禁止した核兵器禁止条約と核不拡散条約の立場に立って、ロシアの決定の撤回を求めるものである。そして、一切の核の威嚇を中止し、核兵器禁止条約への署名・批准を行うことを求めるものである。また、ウクライナ侵略の即時停止と即時・全面・無条件撤退を求めるものである。
今回の事態は、核兵器禁止・廃絶が人類の緊急課題であることを、改めて明らかにした。「核抑止力」論の立場に立てば、この核態勢強化の悪循環を止めることはできない。私たちは、岸田政権に対し、米国の「拡大抑止」にしがみつき、これと一体の大軍拡をおしすすめるのではなく、広島サミットの議長国として、自ら核兵器禁止条約に署名・批准し、これへの参加を各国に求めるイニシアティブを発揮することを、強く求めるものである。
