官邸の圧力による放送法の解釈変更の撤回と
高市早苗大臣の辞任を求める
2023年3月23日 日本平和委員会
放送法4条の「政治的公平」について、放送事業者の番組全体を見て判断するという従来の解釈を、2015年5月の高市早苗総務相(当時)の答弁と16年の政府統一見解で「一つの番組のみ」でも判断できると変更した背景に、当時の安倍政権・磯崎陽輔総理補佐官ら首相官邸からの圧力があったことが、総務省の行政文書によって明らかになった。松本剛明総務大臣はこの文書が正規の行政文書であることを認め、首相官邸からの意向を受け当時の高市総務大臣へのレクが行われていたことも確認され、同省の関係者がその内容は「捏造」ではないと認識していることも確認された。この文書を「捏造」などと否定し続けてきた高市氏の主張が、まったく根拠のないものであることは完全に明らかになった。
この放送法の解釈変更は、放送法に定めた放送事業者の自主性、報道の自由を脅かす重大な問題であり、「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」(磯崎補佐官)との問題意識からこれをおしすすめたことも明らかになっている。戦争法制定をめざした安倍晋三政権が、その反対世論と運動を抑え込むという恣意的な思惑でおしすすめた点にその重大性がある。このような権力による戦争国家づくりのための報道の自由の抑圧は、戦争への道に通じるものであり、絶対に許されない。私たちは、官邸の圧力によって行われた放送法の解釈変更の政府統一見解を白紙撤回することを断固求めるものである。同時に、当時、官邸と結んでその解釈変更の答弁を行い、その経過を明らかにした行政文書が明らかにされると、これを「捏造」と誹謗中傷していまだに責任を認めない、高市早苗経済安全保障担当相の即時辞任を求めるものである。