【談話】「徴用工」問題の韓国政府「解決策」について

2023/03/11

 「徴用工」問題での韓国政府の「解決策」発表について

2023年3月9日 日本平和委員会事務局長・千坂 純

 韓国政府は3月6日、日本の朝鮮半島植民地支配下で日本企業に強制的に働かされた元「徴用工」(強制動員被害者)の問題を「反人道的不法行為」と認定し、日本企業の賠償責任を認めた2018年の韓国大法院(最高裁)判決に関し、韓国政府参加の財団が賠償金の支払いを肩代わりするなどの「解決策」を発表した。
 同判決について日本政府や当該企業は、1965年の日韓請求権協定で賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」として、被害者の求めに応じてこなかった。日本政府は、判決に従ってはならないと加害企業に要求。さらにこの対立を輸出規制にまでエスカレートさせ、対立を激化させてきた。日本政府の態度は不当で頑なである。
しかも、日本政府は今回の韓国政府の「解決策」について、「日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価する」とし、「この機会に、日本政府は、1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認」する旨を表明した。しかし、1998年宣言の「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた」という核心的部分には言及せず、強制動員被害者に対する謝罪も一切なかった。被告日本企業も謝罪も賠償支払いの表明もしていない。
 韓国国内でも被害者や支援団体からも、「日本側の謝罪も、強制動員問題に対するいかなる財政的負担もない屈辱的な解決策だ」「被害者に屈辱感を抱かせる二次加害だ」などの批判の声があがっている。
 このような誠意なき対応では、「徴用工」問題の解決が実現しないことは明らかである。
私たち日本平和委員会は、この問題について、「日本政府は、侵略戦争と植民地支配の反省に立った憲法の精神にもとづき、戦後、長期にわたり放置されてきた朝鮮半島の人々に対する謝罪と償いを実行しなければなりません」「これまで日韓両政府も最高裁判所も、被害者の個人の請求権の存在は認めてきました。この法理と被害者の名誉と尊厳を回復する立場に立って、解決策を見出すべきです」(2019年9月、第2回理事会決定)という立場を表明してきた。
 私たちはここに改めて、日本政府に対し、この法理と被害者の名誉と尊厳を回復する立場に立って問題の解決に当たることを、強く求めるものである。そして、日本政府・当該企業が植民地支配の不法性と強制動員の事実を率直に認めて真摯に謝罪し、その証として償いのために資金を拠出し、同じことを繰り返さないための措置を具体的に講じること。そのために被害者原告及び遺族との協議の場を設けること、を求めるものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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