防衛大臣・浜田靖一殿
オスプレイの飛行中止と撤去を求める
――クラッチの部品交換のための一部飛行停止措置について――
2023年2月7日 日本平和委員会
米国防総省は2月4日、米空軍と海軍、海兵隊仕様の輸送機オスプレイの一部飛行停止を発表した。これは、クラッチを収納している組み立て部品(IQA)に耐用時間制限を発令し、所定の飛行時間を超えたIQAを交換するため、該当するオスプレイを飛行停止するという内容である。
米空軍は昨年8月、CV22オスプレイでクラッチの不具合により事故が相次いでいるとしてCV22全機を一時飛行停止させ、その後、原因不明のまま、パイロットの訓練・運用で対応可能だとして、翌9月に飛行を再開させていた。
しかし、今回の発表では、「ハード・クラッチ・エンゲージメント(※プロペラとエンジンをつなぐクラッチが離れ、再結合する際に衝撃が発生する現象)が徐々に増加していること及び現在進行中の技術的分析にもとづき」、今回の勧告が出されたことを認めている。クラッチの不具合は解決されておらず、むしろ増加していることを認めたものであり、極めて重大である。しかも、その対応措置は耐用時間制限を設けて部品を交換するというだけで、根本的な原因の解明と対策となっていない。
米軍は、対象機や所属先の機数などの詳細、「一定の飛行時間」が何時間であるかも明らかにしないとしている。沖縄タイムスの報道によれば、防衛省は普天間基地の米海兵隊MV22や横田基地の米空軍CV22が部品交換の対象となる可能性があるとしている。一方、陸自のⅤ22は運用期間が短く、現在は交換の必要はないという。
私たちも参加した1月30日の自衛隊立川基地周辺住民による同基地での陸自オスプレイ訓練中止を求める防衛省交渉の中で、防衛省は、米軍・自衛隊のオスプレイはどれも基本構造は同じであり、クラッチの不具合が起こる可能性はあること、ハード・クラッチ・エンゲージメントが発生した場合は、米国における操縦士の教育プログラムによって安全に運用するための訓練を行っているが、それは「安全に緊急着陸」する訓練だけであることを認めた。つまり、クラッチの不具合が起これば、飛行を継続することは不可能で、緊急着陸の対応以外にはないということを認めたのである。しかも、交渉の中で、クラッチの不具合は特定の場合に起こるのではなく、いつでも発生する可能性があることも認めた。
原因不明のままクラッチの部品を交換しても、不具合が発生する危険はなくならない。オスプレイが飛ばせてはならない軍用機であることは、いよいよ明らかになった。
私たちは、断固として、米軍・自衛隊全てのオスプレイの飛行中止と撤去を求める。その上で、以下の質問への回答を求めるものである。
1、2月6日付沖縄タイムスによれば、「1月末に再び(クラッチの不具合に起因する)問題が生じたため、今回の決定に至った」とされているが、その「問題」とは何だったのか? 具体的に明らかにされたい。
2、部品交換とは、同じ部品の新品のものへの交換ということか? それとも、新たな部品への交換か? それによってクラッチの不具合はなくなると考えられているのか?
3、耐用時間制限の具体的内容を明らかにされたい。それは、運用が長くなればなるほど、不具合が起こる確率が高くなる実績にもとづく措置なのか? また、日本に配備されているオスプレイで今回の措置の対象となるものについて具体的に明らかにされたい。自衛隊のオスプレイも同じく耐用時間制限を設けることになるのか?市民の命と安全を守る立場から、以上についての明確な回答を求めるものである。