【談話】日米首脳会談と日米安全保障協議委員会について

2023/01/14

声明・談話

日米首脳会談と日米安全保障協議委員会についての談話
~危険極まりない大軍拡と日米軍事同盟強化に反対する~

2022年1月14日 日本平和委員会事務局長・千坂純


 一、岸田首相らは、12月16日に閣議決定し、「敵基地攻撃能力」(反撃能力)保有などの大軍拡推進の方針を盛り込んだ「国家安全保障戦略」など「安保3文書」を手土産に訪米し、1月11日に日米安全保障協議委員会共同発表、13日に日米首脳会談の共同声明を発表した。
 共同声明では、バイデン大統領が「安保3文書」について、「日本によるこれらの取り組みは、インド太平洋及び国際社会全体の安全保障を強化するものとなる」と最大級に賞賛した。そして、日米両首脳は「日本の反撃能力及びその他の能力の開発及び効果的な運用について協力を強化するよう、閣僚に指示」した。今後、世界的規模で日米一体になって「敵」を攻撃する態勢づくりをおしすすめるというのである。
 これに先立って行われた日米安保協議委員会でも、こうした方向に沿って、日本は「反撃能力を含めた防衛力を抜本的に強化するとの決意を改めて表明」。「地域の平和と安定の維持に積極的に関与する上での役割を拡大するとの決意を再確認した」。一方、米国は「より多面的で、より強靭で、より機動的な能力を前方に展開」し、「インド太平洋における戦力体制を最適化」し、これら強化された日米一体の軍事力によって、「現在、及び将来の安全保障上の課題に対処するため、同盟の役割及び任務を深化させる作業を加速させる」としている。そして、これへのインド太平洋内外の同盟国やパートナー国との共同を広げるとしているのである。
 しかも、その際に米国は「核を含むあらゆる種類の米国の能力を用い」るとし、わざわざ、「米国の日本に対する拡大抑止(※いざという場合の核兵器使用)、及び、最近公表された米国の『核態勢の見直し』(※通常戦争での核使用も含む)について突っ込んだ議論を行い、日本の能力によって強化される米国の拡大抑止が信頼でき、強靭なものとする」と明記している。日本政府が米政府に核兵器使用の保証を強く求めた様がここには示されている。しかも、日本の「敵基地攻撃能力」などの増強がアメリカの核兵器使用態勢を強化するという認識が示されていることは重大である。
 こうしたアメリカの核戦力を含めた日米の攻撃的な軍事力の一体化をおしすすめ、世界規模で軍事的関与の態勢を強化する方向が確認されたことは重大である。これは、唯一の戦争被爆国たる日本の立場からも、戦争放棄を定めた日本国憲法の条項及び精神からも、決して許されない方向である。私たちはその撤回を強く求めるものである。

一、共同発表文はこうした危険な軍事態勢づくりの具体化として、●米軍の指揮下での自衛隊の統合=自衛隊の統合司令部設置の決定を受けた、「同盟によるより効果的な指揮・統制関係の検討」。●平時から「情報収集、警戒監視及び偵察活動並びに柔軟に選択される抑止措置を含む二国間協力の深化」。●自衛隊による嘉手納弾薬庫地区の共同使用はじめ、南西諸島と全国で、日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習・訓練を増加させる。●有事における空港・港湾の柔軟な使用とそのための演習や検討作業の推進。●米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化。●宇宙関連能力に係る協力への深化。宇宙における攻撃が日米安保条約5条(日米共同作戦)発動につながることがありうるとの確認。●自衛隊サイバー防衛隊の新編、情報保全に関する日米協議の進展――などを進めることを確認した。
 そして、米軍の前方態勢をより強化するとして、●沖縄の第12海兵連隊の第12海兵沿岸連隊(島嶼に展開して攻撃拠点をつくる部隊)への改編。●横浜ノース・ドックへの小型揚陸艇部隊の新編。●沖縄・辺野古新米軍基地建設、鹿児島・馬毛島の米空母艦載機離着陸訓練場化と自衛隊基地建設――などを推進することを確認している。
 これらはまさに、米軍の指揮下に自衛隊が組み込まれ、アメリカと共に他国を先制攻撃・全面攻撃する基地へと日本列島全体が組み込まれ、総動員される道と言わねばならない。その先に待つのは沖縄・南西諸島と日本の戦場化である。このような道を断じて許すわけにはいかない。
 私たちは、この安保3文書にもとづく大軍拡と日米軍事同盟強化路線をストップさせ、憲法にもとづく平和外交へと転換させるために全力をあげる。同時に、この危険な動きの根源にある日米安保条約の廃棄をめざして全力を上げる決意を、ここに表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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