馬毛島基地建設工事の本体着手の強行に抗議する
2023年1月13日 日本平和委員会
政府・防衛省は1月12日、鹿児島県西之表市の馬毛島に、米空母艦載機部隊が陸上離着陸訓練(FCLP)の移転などを行なうための自衛隊基地建設の本体工事着手を強行した。これは、地元住民の「基地建設反対」の声を無視し、13日の日米首脳会談へのアメリカへの手土産として行われたものである。私たちは、この暴挙に厳しく抗議し、中止を求めるものである。
この間の政府の手法は、徹頭徹尾、不法不当なものである。もともと、地元西之表市はじめ種子島、屋久島4市町と住民は、空母艦載機訓練場化に断固反対していた。17年と21年の西之表市長選でも馬毛島の軍事基地化に反対する候補が勝利してきた。しかし、政府は19年に馬毛島の乱開発を進めてきた業者から異常な高値で買収。一方的に自衛隊基地の施設配備案を公表し、21年には環境影響評価(アセス)手続き中にもかかわらず、仮設プラントを発注するなど既成事実化を図り、22年1月には基地の「整備地」に決定し、一方で米軍再編交付金の規模を非公式に地元関係者に伝え、自治体と市民の分断を推し進め、異例の速さでずさんなアセスを進めてきた。権力と金力を笠に着たこのような基地押し付け策動を、断じて許すことはできない。
馬毛島に基地が建設されれば、環境省が「地域個体群」としてレッドリストに載せている島固有のマゲシカは絶滅し、豊かな自然や人々の歴史の足跡、心のふるさととされる風景が失われることは必至である。FCLPと陸海空自衛隊の激しい訓練が実施されれば、種子島の1市2町をはじめ周辺住民に深刻な騒音被害や軍用機墜落などの危険がもたらされるだけでなく、漁場が失われ漁業者が生業を失う重大な事態となる。この点については、防衛省のアセス評価書によっても、FCLPは年間最大5356回の飛行を想定しており、訓練は午前3時頃までに及ぶとされている。評価書では「飛行経路の順守を米側に申し入れる」などとしているが、これが日米地位協定の下で有名無実であることは、沖縄や全国の米軍基地の実態を見れば明らかである。
この基地建設は、昨年12月に閣議決定が強行された「安保3文書」改定による「戦争国家」づくり、日米軍事一体化による南西諸島の軍備強化の一環である。それが「有事」の際には、戦争のための出撃・中継・補給拠点とされ、攻撃の標的となることは明らかである。
地元では、「馬毛島への米軍基地建設に反対する市民・団体連絡会」を先頭に粘り強いたたかいが続けられており、基地建設を強行する岸田政権と、これを容認する鹿児島県当局への抗議行動に立ち上がっている。
私たちは、今後とも地元のみなさんと連帯し、大軍拡・「戦争国家」づくりに反対するたたかいと結んで、基地建設工事中止を求めて運動を広げる決意を表明する。