【声明】岸田政権の「安保関連3文書」閣議決定に抗議する

2022/12/16

声明・談話

岸田政権の「安保関連3文書」閣議決定強行に抗議し撤回を求める

~通常国会と統一地方選に向け大軍拡反対の国民的大運動をつくりだそう~

2022年12月17日 日本平和委員会

 12月16日、岸田政権は 「安全保障3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画。以下、「3文書」)の閣議決定を強行した。
 一、岸田政権は本年1月7日、日米外交・軍事閣僚協議で「日米の戦略を完全に整合させ」「今後作成される安全保障戦略の主要文書を通じて同盟としてのビジョンや優先事項の整合性を確保する」と約束した。そして5月23日、岸田総理はバイデン大統領との会談で「防衛力強化の裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明した」。この米国への誓約の手土産として、2023年1月に外交・軍事閣僚協議を経て首脳会談に臨もうとしているのである。
 一、「3文書」は、これまで歴代自民党政府も「建前」としてきた「専守防衛」の原則を事実上投げ捨て、アメリカと共に他国を先制攻撃・全面攻撃できる軍事大国の道へと日本の進路を切り替えようとするものである。このような重大な決定を、国会にも諮らず、選挙で主権者国民に信を問うこともなく、密室の閣議決定で行うことは暴挙というべきであり、断じて許されない。私たちは、断固として抗議し、その撤回を求めるものである。
 一、「3文書」は、「我が国から有効な反撃を相手に加える…反撃能力を保有する」ことを明記した。そして、アメリカがイラク戦争などで他国攻撃に多用してきたトマホークミサイルの大量購入はじめ、日本から他国を直接攻撃できる長射程ミサイルの大量開発・配備計画をおしすすめようとしている。これは、憲法9条の下で、「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、伊能繁次郎防衛庁長官)としてきた限界を踏みにじる明白な憲法違反である。
「3文書」では、「反撃能力」が「平和安全法制」(戦争法)の下での武力行使の際にも行使されるとしている。つまり、日本が攻撃を受けていなくとも、アメリカへの「攻撃の着手」があったと判断されたら、「存立危機事態」と認定して、他国を攻撃することができるのである。
 さらに重大なのは、「3文書」が「我が国の反撃能力については、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築する」と、アメリカの指揮下で日米一体で他国を攻撃する態勢づくりをめざしていることである。
 一、こうした攻撃が日本への反撃を呼び起こし、沖縄はじめ日本全土を戦場化することは明らかである。「3文書」では、沖縄・南西諸島や日本の戦場化を当然の前提のようにして、空港・港湾などの軍事利用を平時からおしすすめ、人員・弾薬・燃料・物資などの輸送への民間船舶・航空機の動員、避難施設(シェルター)の設置や「国民保護」訓練への自治体・住民の動員など、戦場の中での国家総動員体制づくりの方向を打ち出している。省庁間の枠を超えて民間や大学などの科学技術を軍事技術開発に動員すること、防衛装備移転3原則と運用指針の見直しで殺傷能力のある兵器の輸出をめざしていることも重大である。
 一、「3文書」は、この軍拡の裏付けとして、「2027年度において防衛力の予算水準が現在の国内総生産(GDP)の2%(※11兆円規模)に達するよう所要の措置を講ずる」とし、岸田政権は今後5年間で防衛力整備に43兆円程度を支出することを決定した。これは、過去5年間に支出された防衛関係予算の1・6倍に当たる。この財源として政府は、復興特別所得税の半分を軍事に回すという許しがたい流用をおしすすめ、また、「防衛力強化資金」の名で、医療関係の積立金やコロナ対策費の「未使用分」など、本来、医療や暮らしに支出されるべき予算が流用されようとしている。「歳出改革」も、社会保障関係費の大幅削減はじめ国民生活関連予算の削減に確実につながるものである。
 このような国民生活を根底から破壊する大軍拡路線を何としてもくい止めなければならない。
 一、日本が進むべき道は、軍事同盟強化で他国と軍拡競争を激化させる道ではない。憲法前文と9条を活かした平和外交で、軍縮と平和を実現する道である。軍事ブロックによる対抗と排除ではなく、立場の違うすべての国が参加して紛争を平和的に解決する平和の枠組みを実現する努力である。唯一の戦争被爆国としてすみやかに核兵器禁止条約に参加し、周辺各国にも参加を呼びかけ、東北アジアを非核平和の地域にする努力である。この方向にこそ、平和の道がある。
 私たちは、通常国会と統一地方選挙に向けて、「安保3文書」による大軍拡路線の危険性を広範な人々に徹底して知らせ、これに反対し、「軍事費を削って暮しに回せ」の圧倒的世論をつくりだし、国民的共闘を発展させ、岸田政権を退場に追い込むため、全力を尽くす決意を表明する。

カウンター〈21/06/18-〉

自己紹介

自分の写真
日本平和委員会は、北海道から沖縄までの津々浦々で、草の根から平和を築くために活動しているNGO(非政府組織)です。

こちらのブログは「平和新聞」掲載の記事を中心に紹介しています。

ご入会・ご購読、絶賛受付中です!

日本平和委員会→ http://j-peace.org/

このブログを検索

アーカイブ

ラベル

QooQ