【声明】オスプレイの高度規制の緩和と訓練拡大に抗議する

2022/09/30

声明・談話

防衛大臣・浜田靖一殿

オスプレイの高度規制の緩和と全国での訓練拡大に抗議し、その中止を求める

2022年9月30日 日本平和委員会

 この間のオスプレイをめぐる事態は、いよいよ市民の命と安全とオスプレイが両立できない存在であることを明らかにしている。
 米空軍がCV22オスプレイのプロペラとエンジンをつなぐクラッチの不具合を理由に8月16日~9月2日までCV22の全機停止措置としていたが、原因究明や改良策も見いだせないまま、飛行再開を強行した。そして、日本政府はそれを全面的に容認し、CV22の飛行停止に合わせて事実上飛行を見合わせていた木更津基地配備の自衛隊Ⅴオスプレイの飛行も再開した。米海兵隊のMV22も自衛隊のオスプレイも機体構造はCV22と基本的に変わらず、クラッチの不具合を共通に抱えていることを米軍は認めている。
 そもそも日本の航空法で回転翼機に必須とされているオートローテーション(自動回転)機能を有していないオスプレイは、日本の上空を飛行すべきではない。それに加えてクラッチの不具合という新たな欠陥が明らかになったからには、米軍・自衛隊全機種の飛行中止を行なうべきである。
 しかも、オスプレイはこの間も事故を多発させている。防衛省によれば、昨年9月末時点のMV22オスプレイのAクラス事故率は2・5で、10年前の普天間基地配備時1.65よりも高くなっている。また、CV22オスプレイの事故率は6.0で、米軍機の中で最悪レベルの事故率となっている。9月27日には、4機のMVオスプレイが「天候不良」を理由に、新田原基地(宮崎県)に緊急着陸する事態がまたも起きている。
 重大なことは、9月26日の日米合同委員会で、「住宅地の上空を避けた地域において」MV22が低空飛行訓練する際の最低高度を、500フィート(約150m)から300フィート(約90m)に下げることに合意したことである。期間は北海道でMV22が6機参加する米海兵隊と陸自の日米共同訓練(レゾリュート・ドラゴン)と重なる9月27日~10月18日までとしている。これは、米軍機の低空飛行訓練も日本の航空法に準じ、人口密集地以外の地域で最低安全高度を150mとするとしてきた日米合意を反故にするものである。
 事故率が高く、クラッチの不具合によって衝撃が起こり機体が不安定化する危険があり、しかも、オートローテーション機能がないオスプレイの最低安全高度を引き下げ、実戦的な激しい訓練を行うことは、事故の確率をさらに高め、市民の命と安全を脅かすものであることは明らかである。
 しかも、レゾリュート・ドラゴンには、事故率の最も高いCV22が2機参加することが9月26日になって発表された。また、10月6日には、大分県の日出生台と十文字原両演習場で行われる17000人規模の陸上自衛隊「鎮西」演習(10月2日~9日)に陸自オスプレイが初めて参加し、機動展開訓練することも明らかになった。いずれも周辺住民から不安の声が上がっている。
 これら一連の米軍・自衛隊のオスプレイをめぐる事態は、市民の命と安全よりも日米の軍事態勢強化を優先する、許しがたい動きと言わなければならない。厳しく抗議するとともに、次のことを要求するものである。

 (1)    クラッチの不具合をそのままにしての飛行は事故の危険性をいっそう高める。米軍・自衛隊の全機の飛行を中止すべきである。当面、北海道や大分などでの演習への参加は中止すべきである。
 (2)    最低高度の規制緩和を中止すべきである。日本の航空法に準じるとした日米合意を順守すべきである。

カウンター〈21/06/18-〉

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