3日の憲法記念日に合わせ、全国の平和委員会の青年会員らが、若者の憲法への意識を問うアンケートを街頭で実施しました。
アンケートは愛知県平和委員会青年・学生部が1993年以来毎年実施し、2015年からは全国複数箇所で行っています。新型コロナウイルス蔓延の影響により、全国で一斉に行うのは3年ぶりとなりました。
実施したのは札幌市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市の5カ所、197人が回答しました。
「わからない」6割
「憲法についてどう思いますか」の問いには、22%が「変えるべき」(以下「どちらかといえば」を含む)と回答し、「変えるべきでない」(以下「どちらかといえば」を含む)をわずかに上回りました。改憲すべきとの回答が「すべきでない」を上回ったのは初めてです。一方、「わからない」が56%を占めました。
「変えるべき」理由の自由記入欄からは、税金の見直しや年金保障など、生活への不安を改憲で打開させたいという期待が読み取れました。
9条「変えないで」
9条については、57%が「変えるべきではない」と回答、「変えるべき」の19%を大きく上回りました。
戦力不保持を定めた9条2項については、「変えるべきでない」が35%、「変えるべき」が31%でした。過去の調査では「変えるべきでない」が5割前後を占め、「変えるべき」は1~2割程度でしたが、今回は差が縮まりました。
「変えるべき」理由には「攻められたときに備えておくのは大切だと思うから」など、ロシア侵略をめぐり、日本が攻められるかもしれないという不安が示されました。
日本の核兵器保有については、82%が「持つべきではない」と答えました。
「平和のためにできることがあればやりたいか」という問いには、「積極的に」「少しくらいなら」を合わせて94%が「やりたい」と答えました。
愛知県平和委員会青年・学生部部長の矢吹明さん(仮名)は多数の青年が核保有に反対したことについて「青年は核兵器の危険性を理解している」と言います。「周辺国との緊張がありながら日本が戦争をしなかったのは9条があるから。このことを話し合う場を設け、たくさんの人が発信できるようにしたい」と話しました。
豊かな中身知らせ
―白神優理子弁護士(日本平和委員会理事)に聞く
戦争を仕掛けないという、平和主義としての憲法は評価されています。2項の評価は拮抗していますが、ただ多くの人は、自衛隊は国民を守るためのものだと認識しています。自衛隊が米軍と一体となって他国に攻め込もうとしているとは、夢にも思っていません。
同時に、攻撃する力を持つことは抑止力として必要だという声もあります。しかし自衛の名の下に軍拡競争が進められ、甚大な被害をもたらしたことは歴史を見れば明らかです。
憲法を変えることがいかに危険かというだけでなく、国連憲章や憲法が生まれた背景を語り、憲法の豊かな中身を知ってもらうことこそが必要だと思います。
(結果の詳細は、平和新聞22年5月25日号をご覧ください)