1952年の日米安保条約発効から4月28日に70年を迎えるに当たり、日本平和委員会は4月29日、内藤功代表理事(弁護士)を講師にオンライン講演会を開催しました。
内藤氏は「『安保70年』とは、憲法と安保のせめぎ合いだ。憲法の力で安保に立ち向かうという立場から考えたい」と提起。日米安保条約廃棄を求める70年の運動の系譜を、自身の経験も交えて語りました。
安保条約は、1951年9月のサンフランシスコ平和条約締結と同日、事前に国民に知らされることなく非公開で署名されました。平和条約は日本からの「占領軍」撤退を定めましたが、但し書きを付して協定による外国軍の駐屯・駐留を認めます。内藤氏は「米国の狙いはここだ。安保は占領の継続だという本質を押さえる必要がある」と強調しました。
安保条約の全土基地条項や極東条項、内乱条項、米軍の権利・権力・権能の規定、期限の定めがないことなど、アメリカの属国のような扱いと、「戦争に巻き込まれるのではないか」という危機感から反対運動は急速に拡大。全面講和要求、再軍備反対とあわせ、破壊活動防止法案反対や皇居前広場の集会の自由を求める運動など、「民主主義と自由を守る運動へ発展した」と指摘しました。
現行安保である改定に向けた60年安保闘争は憲法を使用した裁判闘争と連動して発展。岸内閣の総辞職などを勝ち取りました。
内藤氏は「70年を経て、安保の基礎構造は変わらないが、実際の運用は大きく変わっている」と、日米間のさまざまな合意が条約を超えた運用を進めていると強調。「安保終了への道は大仕事だが一歩一歩進む」とし、東アジアでの平和の枠組み作り、核兵器禁止条約への参加、安保法制廃止、日米地位協定の抜本改定、軍事費削減の運動が、安保条約をなくす力になると指摘し、「目の前のたたかいと同時に展望を語り、壮大な気構えで参院選に臨もう」と呼びかけました。
(平和新聞22年5月25日号)
録画をインターネットでご覧になれます→日米安保条約発効70年企画