【声明】自民党の安保戦略提言を批判する

2022/04/22

声明・談話

 憲法を根本から蹂躙する自民党・安保提言を批判する

――アメリカと共に他国を全面攻撃する道を許さない大運動を――

2022423日 日本平和委員会

 

 自民党安全保障調査会は421日、政府の安全保障戦略の指針となる「国家安全保障戦略」など3文書改定に向けた提言を了承した。

 この中で、岸田政権が推進するとしている「敵基地攻撃能力」について、「反撃能力」と名称を変えて保有する立場を明確にした。これは、「敵基地攻撃能力」が先制攻撃をめざすものだとの批判を恐れた、見え透いたごまかしというべきである。

 しかし、この提言をまとめた責任者である小野寺五典元防衛相は「相手側の攻撃が、明確に意図があって、すでに着手している状況であれば、(攻撃の)判断を政府が行う」と説明している(朝日新聞422日)。これが政府の判断で先制攻撃を推進するものであることは明らかである。しかも提言では、「反撃能力の対象範囲は、相手国のミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含むものとする」と、「敵国」への全面攻撃をも可能にする方向を打ち出している。これはまさに、これまで歴代自民党政府も憲法9条の下で建て前としてきた、「専守防衛」や「攻撃的兵器不保持」「海外派兵禁止」などの制約を取り払い、米軍と共に自衛隊が他国を全面攻撃する道を開こうとする重大な企てであり、憲法9条の下では決して許されない。

 提言は、「専守防衛」の逸脱だとの批判をかわすために、こともあろうに、この「反撃能力」は「専守防衛の考え方の下で」保有するのだと、支離滅裂な説明をしている。そして、専守防衛政策での「必要最小限度の自衛力の具体的な限度は、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件を考慮し、決せられるものである」と、「専守防衛」の美名の下で、際限なく軍事活動の範囲を拡大できるよう強弁している。このような矛盾と詭弁に満ちた憲法9条破壊のたくらみを、断じて許してはならない。

 提言は、こうした危険な軍事態勢をつくるために、5年以内に軍事費を現在の2倍の規模にすることをめざす方向も明記している。これが国民生活の破壊につながることは必至である。さらに、最先端技術や民間企業の軍事態勢強化への動員、自衛官の増員と「国民保護」態勢の強化、防衛装備品の紛争当事国への供与など、「戦争する国づくり」を全面的に推進する提言となっている。

 安倍元首相や維新の会などが強調する「核共有」推進は明記こそしていないが、「米国による核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛に対するコミットメントをさらに強化するための方策を検討する」と、「検討」の道を残している。そして、非核三原則については、緊急事態における核の持ち込みを容認する岸田首相の答弁をわざわざ引用し、核兵器持ち込みを容認する方向を打ち出している。

 私たちは、平和と憲法を守る立場から、この危険極まりない自民党提言の推進を許さないため、全力を挙げる決意を表明する。「岸田政権批判パンフレット」を大活用した学習運動を広げ、7月の参議院選挙で、岸田自公政権とその補完勢力に、厳しい審判を下すために、全力を挙げる立場を表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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