辺野古新基地建設の設計変更不承認に対する
国交相による取り消し裁決に抗議する
2022年4月11日 日本平和委員会
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、斎藤鉄夫国土交通相は8日、軟弱地盤の改良に伴う設計変更を不承認とした昨年11月の玉城デニー知事の処分を取り消す裁決を発表した。あわせて、20日までに設計変更を承認するよう迫っている。
これは、沖縄県民が幾度も明確に示してきた辺野古米軍新基地建設中止を求める民意を全く無視した、基地建設強行の姿勢にもとづく決定であり、断固として抗議する。
しかも、今回も政府は、行政機関による私人への権利侵害の救済を目的とした行政不服審査法を悪用して、沖縄防衛局が国交相に不承認処分取り消しを請求するという手法を用いた。これは、同じ国の行政機関であり、共に新基地建設を推進する当事者である防衛相と国交相が審査請求人と審査機関になるという、およそ公正な審理が成立しない、不当な手法である。このようなやり方は断じて認めることはできない。
こうして出された裁決は、軟弱地盤の最深部の地盤調査が行われていない問題点や、地盤の安定性が十分に検討されていないこと、絶滅危惧種ジュゴンへの影響が適切に予測されていないこと、「早期の普天間基地返還」という目的も達成できないなどの、県が指摘した問題点を、ことごとく否定するものとなっている。
沖縄県はこれに対し、内容を精査・確認した上で、この勧告を拒否し、国との法廷闘争へとすすむことが予想される。国は、いったいいつまで沖縄県民の民意を踏みにじり、県民に苦悩を押し付け続けるというのか。これが、「自由と民主主義」を看板とする国のやることなのか。私たちは、沖縄県民が50年前の施政権返還に込めた、「平和憲法の下での基地のない平和で豊かな沖縄」の願いを踏みにじるこの新基地建設を、なんとしても阻止するため、今後とも沖縄県民と連帯し、たたかいぬく決意を表明するものである。