防衛大臣・岸 信夫殿
東京都知事・小池百合子殿
パラリンピック開会式でのブルーインパルスの展示飛行中止を要求する
2021年8月10日 日本平和委員会、東京平和委員会
航空自衛隊は私たちの反対の声を無視して、7月23日の東京オリンピック開会式の日にブルーインパルスの展示飛行を強行した。
それは私たちが警告したように、確実に人流を増加させ、新型コロナウイルスの感染リスクを増大させた。「NTTドコモの携帯電話の位置情報から推計すると、五輪開幕を祝う航空自衛隊のブルーインパルスが飛んだ7月23日午後0時台、国立競技場周辺の人出は約5200人に達した。それまでの1週間平均と比べ3000人ほど多く、混雑は夜まで続いた」(朝日新聞8月9日付)のである。井筒俊司航空幕僚長も7月29日の記者会見で見物人が密集状態になったことに関し「残念だったというのが率直なところだ。(新型コロナウイルスの)感染拡大が進まないよう願っている」と、この事態を認めている。しかも、この際の飛行が、上空の雲の中を飛行し、視界不良での有視界飛行を禁じる航空法に違反する危険な飛行になっていたことも指摘されている(8月4日付「しんぶん赤旗」)。
新型コロナウイルスの感染が収束しない中でのオリンピック開催強行によって、東京での新規感染者数は23日開幕日の1359人から8月5日には過去最高の5042人に達し、全国でも4204人から1万5千人超へと増大。首都圏をはじめ病院に入院できない人が膨張し、医療崩壊が深刻化している。
私たちは生命と人間の尊厳を何よりも大切にする平和運動の立場から、こうした状況の下でのパラリンピックの開催に反対する。同時に、その開会式の日のブルーインパルスの展示飛行の中止を、断固として求めるものである。その飛行が人流を拡大し、感染リスクを増大させることになることは、すでに証明済みだからである。そしてそれは、人の命を守るために全力を挙げるべき時にそれとは逆のメッセージを発信し、実際に飛行直下の都民の命を脅かすことにもなるからである。
かかる理由から、東京都はパラリンピック開会式でのブルーインパルスの展示飛行要請を撤回し、航空自衛隊・防衛省はこれを中止する決断をすべきである。私たちは断固としてこのことを求めるものである。