京都平和委員会青年学生部は6月29日、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さんを講師に迎え、「戦争と感染症―第一次世界大戦から考える―」をテーマに学習会を開催しました。府内外から15人が参加しました。
農業史と環境史が専門の藤原さんは、人々の生活にまつわる観点から、感染症の拡大と戦争との関わりを解説しました。
第一次大戦中に流行したスペイン風邪と、現在流行する新型コロナウイルスとを比較し、感染拡大の背景が戦争か経済活動かの違いはあるが、状況的にはほとんど同じだと指摘。それは大規模な人員動員と統制であり、当時は戦争、現在はオリンピックを通し、動員という形で意思に関係なくウイルスの運び屋となって世界中に感染症を蔓延させてしまう可能性があると解説しました。
また、もっともリスクにさらされやすいのは清掃業者、ケア労働従事者など多くが低所得者であり、感染症拡大が貧困と関わることは現在も変わらないと指摘しました。
参加者は、質疑応答で「小さなコミュニティを作ることが大事」「核兵器や原発など巨大な技術よりも、自然や地域に根差した小さな技術が大事」「考え抜いた言葉こそ力になる」といったことも学び、「世代を超え、さまざまな人とつながれる平和委員会を楽しく広げたい」と感想を話しました。