宮城県平和委員会が事務局を務める「個人情報と自衛隊を考える市民連絡会」は3日、仙台市に対し、自衛官募集対象者の個人情報の一括提供をしないよう要請しました。
市は昨年度まで閲覧にとどめていましたが、昨年の12月議会で副市長が「紙等の媒体での提供について制約されない」と答弁したことを受け、県内諸団体で連絡会を構成し、提供しないよう求めてきました。
市はこの日、来年3月末までに18歳、22歳になる市民約2万1000人分の情報を自衛隊に一括提供する計画だと表明。その際、宛名シールに印字し、6月中旬にも自衛隊側へ送ると答えました。
連絡会共同代表の小野寺義象弁護士らは要請文を渡し、この問題は「憲法が保障する個人情報の自己コントロール権の侵害」であり、仙台市の対応は十分な法的根拠がないと迫りました。
連絡会側は、個人情報保護審議会にかけること、対象者の同意を得ることなどを求めましたが、市側はいずれも「必要はない」と回答。自衛隊内で起こっている人権侵害の実態や、安保法制化における任務についての認識を問うと、市は「他省庁のことであり、答えられない」との回答に終始しました。
参加者は「本人の知らないところで自治体が情報提供をすれば、市民の信頼を失う」、「これまで市は『提供を求められても検討すると言い続ける』と答えてきた。方針を変えたことに驚くとともに、不信感を持つ。提供しないよう検討してほしい」と重ねて求めました。
連絡会は、自治体が自衛隊に市民の情報を届けることについての意識調査をオンラインで実施するとともに、郡和子市長にメールなどで市民の声を届けようと呼びかけています。