【談話】日米安保協議委員会について

2021/03/17

声明・談話

【談話】
バイデン・菅政権下初の日米安全保障協議委員会についての談話
いっそう危険な日米軍事同盟強化の方向示した協議
――軍事同盟強化でなく、核兵器禁止・軍縮の方向への転換を――


2021年3月17日 日本平和委員会事務局長・千坂 純

 一、3月16日、バイデン・菅両政権発足後初の日米安全保障協議委員会が開催され、共同発表文が確認された。
 政権発足後2カ月という異例の早さで行われたこの協議は、特に米国の対中軍事戦略に日本をより深く組み込み、日本にインド太平洋全域におけるいっそう攻撃的な役割を担わせる方向を確認するために行われた。共同発表文では、「日米同盟はインド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎」と位置づけた。そして、「米国は核を含むあらゆる種類の米国の能力による日本の防衛に対する揺るぎないコミットメント」を行うとした。これは、核兵器禁止条約発効という時代の大きな流れに逆行し、核兵器使用態勢を維持・強化する立場を表明したもので、極めて重大である。そして、「日本は…日米同盟をさらに強化するために能力を向上させることを決意した」と表明。その内容として、「(宇宙・サイバー分野を含む)すべての領域を横断する防衛協力を深化させ…拡大抑止を強化するため緊密な連携を向上させる」としている。「拡大抑止」とは、核戦力を中核にした攻撃力に他ならない。「敵基地攻撃能力」軍拡をおしすすめ、米軍と一体に攻撃的態勢の一翼を担う危険極まりない方向をおしすすめようとしているのである。その方向で「同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し」「二国間及び多国間の演習及び訓練」を強化することを表明していることも重大である。
 さらに共同発表文は、「米軍再編」計画を全面的に推進し、沖縄・辺野古新基地建設計画を沖縄県民の意思を無視して強行する立場を改めて確認し、日米防衛相会談では、鹿児島県・西之表市民の意思を無視し、馬毛島への米空母艦載機離着陸訓練基地などの建設を推進していくことも確認した。民意を無視したこのような米軍新基地建設強行は、断じて許すわけにはいかない。
 このような危険な軍事同盟強化ではなく、日本国憲法の立場を堅持して、核兵器禁止・廃絶、非核平和のアジアへの転換のために努力することこそ、日本の果たすべき役割である。

 一、共同発表文では、中国の海警法制定、尖閣諸島や南シナ海に対する中国の不当な領土要求と横暴な活動、香港及び新彊ウイグル自治区での人権抑圧の動きに対し、懸念と反対を表明している。私たちも、こうした中国の覇権主義的な主張と行動に、断固反対している。しかし、こうした動きに対しては、国際法と道理に立った外交的努力で国際的に包囲し、問題を平和的に解決することが求められる。軍事的対応は、いたずらに軍事的な緊張と武力衝突の危険を高め、平和的解決を困難にしかねない。ましてや、共同発表文にあるように、「拡大抑止」=核兵器による威嚇を振りかざすことは、この地域の核軍拡を激化させかねない危険な道である。
 また、共同発表文は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」している。台湾に対し中国が軍事威嚇を強め、米軍が台湾周辺での軍事活動を強化していることが、この地域の軍事緊張を高めている。私たちは、互いに軍事的緊張を高める動きを止め、台湾市民の民意を尊重し、問題を平和的に解決する方向で努力することを、強く求めるものである。
 さらに共同発表文は、「北朝鮮の完全な非核化」を求めているが、2019年4月の日米安全保障協議委員会共同発表文に記されていた、米朝首脳会談などの外交努力への評価はなくなっている。私たちは、朝鮮半島の非核化と平和体制構築を同時に追求する米朝首脳会談合意の立場にこそ、問題の平和的解決の道があると確信している。日米両政府及び関係各国政府がこの立場に立って努力することを、強く求めるものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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