≪要請≫
外務大臣・茂木敏充殿
新型コロナウイルス感染「緊急事態宣言」下での米軍関係者の入国停止措置を要求する
2021年1月20日 日本平和委員会
政府は新型コロナウイルス感染拡大の事態を受けて緊急事態宣言を発令し、1月13日には海外からの感染流入を防ぐ水際対策強化のため、従来往来を認めてきた11カ国・地域のビジネス関係者の入国を一時停止する措置を決定し、外国人の新規入国が停止されることとなった。これは特に、海外からの新型コロナウイルス変異種の流入を警戒した措置である。
しかし、日米地位協定の下で、在日米軍基地への米軍・米軍属関係者の入国は、「公用」だとして、この対象から除外されている。これは、市民が感染抑制の大変な努力をしている中で、米軍基地を通じて変異種などの感染拡大を生み出しかねない重大問題である。
政府は入国する米軍関係者には、陰性証明書の提出を求め、14日間の隔離とPCR検査を義務付けていると説明している。しかし、その中で今年に入っても米軍関係者の感染が多発していることが、米軍発表によっても明らかになっている。横須賀基地(神奈川県横須賀市、米軍関係者約13000人)でも今年に入って205人の感染者を確認し、累計500人超となっている。人口39万人の横須賀市民の感染者数は累計1470人であり、その感染率は10倍超という異常さである。岩国基地(山口県岩国市、米軍関係者約1万人)でもほぼ連日感染者が確認され、今年に入ってだけでも88人、昨年来の累計では163人の感染者が確認されている。人口約13万人の岩国市の一般市民の感染者188人と比較するとやはり10倍もの感染率という異常事態である。沖縄でも今年に入って140人以上を確認し、累計868人。横田基地(東京都)でも今年に入って27人を確認し、累計174人。厚木基地では26人を確認し累計53人。座間基地では42人を確認し累計84人。三沢基地でも12人を確認し累計37人など、全国各地の米軍基地内で今年に入ってからも感染者が多発している(1月20日現在)。
この感染率の高さは尋常ではなく、在日米軍による感染防止の「厳格な措置」の実態を疑わせるものと言わねばならない。しかも、その「措置」の実態を自治体も日本政府も検証しようがない事態となっている。米軍関係者の基地外への出入りも自由という状況も続いている。このような状況の下で、海外からの米軍関係者の入国を規制しないでおくことは、周辺の市民を基地からの感染の危機にさらすことになる。
私たちは、かかる状況を踏まえ、以下のことを求めるものである。
��, 少なくとも、緊急事態宣言下、ビジネス関係者の入国禁止が続く間、米軍関係者の入国も禁止すべきである。また、この期間の演習の中止を求めるべきである。
��, 米軍基地内での入国者への感染防止対策の実態の検証を、自治体や政府の求めに応じ、実施できるようにすべきである。
��, 感染確認状況の詳細情報を、感染者の所属、行動履歴も含め、適時迅速に公表することを義務付けるべきである。
��, 全国知事会の求めるように、日米地位協定を抜本的に改定し、米軍に対し国内法を適用し、検疫も日本の管轄下で行うようにすべきである。