≪声明≫
安倍首相の辞任表明を受けて
憲法と平和を破壊する「安倍政治」路線の根本的転換のため、力を合わせよう
2020年8月29日 日本平和委員会
一、安倍晋三首相は28日、記者会見し、病気を理由に辞任を表明した。
安倍政権は、この7年8カ月の間、特定秘密保護法、共謀罪など、基本的人権と民主主義のじゅうりんを強行し続けてきた。とりわけ、2014年7月の閣議決定による集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更と2015年の戦争法(安保法制)の強行は、憲法の立憲主義、平和主義を根本から破壊する暴挙だった。安倍政権は戦争法の具体化として、史上最大の大軍拡を推し進め、アメリカ製の高額兵器の爆買いや、沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設ごり押しなど、全国の基地強化をすすめてきた。そして、憲法99条の憲法尊重擁護義務に反して、憲法9条改悪に執念を燃やし続け、さらにいま、「敵基地攻撃能力保有」の軍拡に道を開く策動を推し進めようとしている。唯一の被爆国でありながら、多くの被爆者と国民の願いに反して、核兵器禁止条約を敵視し参加を拒み続けてきた。
一方で安倍首相は、森友問題、加計問題、「桜を見る会」問題、「大規模選挙買収問題」等にみるように、政治を私物化するモラルの崩壊をおしすすめてきた。「アベノミクス」の名で大企業優遇の新自由主義的政策をおしすすめ、社会的格差と貧困を拡大してきた安倍政権は、新型コロナ感染問題でも、医療機関や国民生活支援を求める声には冷淡で、国民の批判を浴びている。
安倍首相の辞任にあたって求められるのは、こうした「安倍政治」路線の全面的な転換である。安倍首相は辞任会見で、こうした自らの悪政については全く無反省なまま、「改憲」路線の次期政権への継承と、「ミサイル阻止に関する安保政策の新たな方針」と称する「敵基地攻撃能力」保有の軍拡方針の策定を急ぐことを強調した。私たちは、このような政治の継承を決して許さない。
一、私たちはこの7年8カ月の間、一貫して、この安倍政権の平和と憲法を破壊する悪政を厳しく批判し、平和と憲法を守る草の根の運動を繰り広げてきた。市民と野党の共闘の発展の一翼を担い、安倍政権の一刻も早い退場のために活動してきた。こうした中で、安倍9条改憲路線も沖縄の新基地建設策動も阻止し、「イージス・アショア」基地建設を断念に追い込むなどの成果を生み出してきた。憲法9条守れ、核兵器禁止条約に参加せよの世論は圧倒的多数となり、安倍政権の支持率は過去最低に落ち込む状況が生まれている。私たちは当面、「敵基地攻撃能力」保有軍拡の阻止のために全力を挙げると共に、平和と憲法を守る草の根からの運動をさらに広げ、こうした「安倍政治」路線・自民党政治の根本的転換を実現するため全力を挙げることを、ここに表明するものである。