【神戸、名古屋、福岡】自衛隊へ 「個人情報渡すな」と抗議

2020/07/11

各地の活動

【神戸、名古屋、福岡】
自衛隊への名簿提供 政令市で急増
「個人情報渡すな」と抗議


 自衛隊の募集対象者名簿を自治体が自衛隊に提供する動きが強まっています。特に政令指定都市で顕著で、去年まで閲覧にとどめていたのを今年から提供に切り替える自治体が増えています。地元では、こうした動きに反対する運動が広がっています。

【神戸市】「市民の会」発足
神戸市、自衛隊名簿集会2

 神戸市と自衛隊兵庫地方協力本部は今年2月、情報の提供に関する覚書を交わしました。市が17歳と21歳の氏名等を電子媒体で自衛隊に提供することを確認する内容です。昨年度までは神戸市は名簿の閲覧のみを認めていましたが、今年から覚書に基づき、約3万人分の情報を電子媒体で提供しています。
 神戸市では、市民の個人情報を勝手に自衛隊に渡すなと、電子署名や集会などが取り組まれてきました。
 6月21日、「自衛隊への名簿提出を考える集会」が開かれ、「私たちの個人情報を渡さない神戸市民の会」(「渡さない会」)の発足が確認されました。集会には60人が参加しました。
 集会では深草憲法問題研究室の深草徹さんが講演。少子化のもとで自衛隊の募集業務が強化しているとともに、安倍政権の「戦争する国づくり」の一環として自治体への圧力が強められていると強調しました。神戸市の対応は憲法13条の人権保障の原則、プライバシーの権利を侵害する違憲の行為だと訴えました。
 集会参加者で発足を確認した「渡さない会」として今後、名簿提供の中止と市民への周知に取り組みます。県平和委員会は4団体で構成する幹事団体に加わりました。

【名古屋市】シール提供に抗議
愛知自衛隊名簿申し入れ

 一昨年まで一般的な閲覧であった名古屋市は昨年「抽出閲覧」に変更。今年度は18歳になる2万人弱の名簿を宛名シールに印字し、自衛隊に提供したことが明らかになりました。
 愛知県平和委員会は6月26日、河村たかし名古屋市長に対し、情報提供を中止するよう申し入れました。
 行動参加者は提供の問題点として①住民基本台帳法第11条が認めるのは閲覧のみで、提供を認める根拠は存在しない②自衛隊法施行令120条は個人情報の提供の根拠にならない―と指摘、「提供には法的根拠がない。中止すべき」と迫りました。
 市はすでに「提供は済んでいる」と回答。県平和委は、提供に不服がある人は対象から外す措置を講じた京都市の例を示し、「せめて市民に情報を開示して意見表明の機会を設け、それまでは自衛隊に郵送実務を停止するよう求めるべきではないか」と迫りました。
 担当者は「自衛隊施行令をもとに行った」と答えるのみ。意見表明の機会を設けるかどうかは検討し回答すると答えました。

【福岡市】233人が除外
福岡市、200619市長への抗議3

 福岡市は昨年まで閲覧にとどめていましたが、高島宗一郎市長は今年1月6日、紙と電子媒体で提供する方針を表明。2月7日、異例の急な日程で開かれた個人情報保護審議会の諮問に基づき、望まない市民は対象から除し、紙媒体で提供することとしました。
 これに反対し、市民は署名運動や集会、宣伝を重ねてきました。審議会に向けては「個人情報保護条例の精神を遵守し、名簿提供をやめるよう」求める署名1200人余分を提出。市による周知は極めて不十分であったため、「個人情報は私たちのもの」と呼びかけて車を走らせるなどし、対象者約3万人のうち233人が除外申請しました。提供を強行する際は議員の立ち合いを求めましたが、市はこれを拒否し、6月5日に予告なしに実行しました。
 市民らは6月19日、約500人の賛同を集め、市長への抗議文を提出しました。「個人情報を自衛隊に提供することは法定受託事務ではない」「地方自治体は国と対等の立場にあり、市民の個人情報を守る義務がある」とし、名簿提供によって「福岡市の若者が、新たな戦争に自衛隊員として参加させられる事態を招来しかねない」と断じました。
 「自衛隊への名簿提供を止めさせる市民連絡会」の原豊典さんは、「市の強行に怒りは頂点に達した。今後は除外申請者を1000人規模にすることや、学校への働きかけを検討したい」と話しています。
��平和新聞2020年7月5日号)

カウンター〈21/06/18-〉

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