≪声明≫
露骨な人権抑圧立法・「香港国家安全維持法」制定に強く抗議し、撤回を求める
2020年6月30日 日本平和委員会
一、本日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、香港市民の人権を抑圧する「香港国家安全維持法案」の採択を強行した。私たちは去る5月26日、人権を擁護し発展させることは国際的な課題であり、人権を守ることと平和を守る課題は不可分一体の問題であるとの立場から、同法の強行とそれに反対する香港市民への弾圧を中止することを強く求めてきた。今回の採決強行は、こうした国際的批判と香港市民の民意を踏みにじり、香港立法会の審理抜きに中央政府が一方的に押し付ける非民主的手法で強行されたものであり、厳しく抗議する。
一、「国家安全維持法」は、「国家の分裂」「中央政府の転覆」「テロ活動」「外国勢力などと結託して国家の安全を脅かす」等の行為を禁止して刑罰の対象とし、これを取り締まるために中国の治安当局の出先機関「国家安全維持公署」を香港に設置する。さらに、場合によっては中国政府が直接管轄権を行使し、同法に関連する案件を審理する裁判官は香港行政長官が指名する。まさに、徹頭徹尾、中国政府の意のままに、中国政府が乗り出して、香港市民の思想・信条、言論・表現、集会・結社等の自由を強権的に弾圧できるようにするものに他ならない。中国政府の国際約束である「一国二制度」の原則を踏みにじり、中国政府も署名する国際人権法、香港基本法に明記されている国際人権規約にも反する、時代錯誤の人権抑圧立法であり、断じて許されない。
中国政府はこの弾圧立法を、香港市民が民主主義擁護を掲げて大規模なデモを行う7月1日を前にして、そしてまた、立法議員選挙の立候補受付を前にして強行した。ここに、この民主主義・人権抑圧立法のねらいが露骨な形で表れている。
一、私たちは中国政府に対し、民主主義と人権擁護を求める香港市民と国際社会の声に従い、この人権抑圧立法をただちに撤回することを求めるものである。そして香港市民、世界諸国民と連帯し、今後とも民主主義と人権、平和擁護のために奮闘する決意を表明するものである。