≪声明≫
日米安保条約発効60年に当たって
日米軍事同盟強化をやめさせ、安保条約を廃棄し、憲法の輝く日本を創ろう
2020年6月22日 日本平和委員会
6月23日は、日米安保条約が発効して60年目に当たる。
この条約は、国会を包囲する安保改定反対のデモが連日くり広げられる中、警察官の国会議事堂内への導入、野党議員排除という暴挙によって強行採決された、手続きにおいても、内容においても憲法違反の条約である。
60年を経た今もこの日米安保条約は、日本の主権を奪い、憲法9条を蹂躙して日本を米軍の出撃拠点とし、アメリカに従属した自衛隊を大増強し、日本国民の人権と平和、暮らしを脅かす根源となっている。
米軍に占領軍的特権を与える日米地位協定と日米密約等によって、国民の人権が蹂躙され続けている。米軍に国内法は適用されず、民間地上空での米軍機の低空飛行訓練も自由に行われ、米軍事故の立ち入り調査もできず、米軍犯罪を厳正に裁くこともできないなど、屈辱的事態が続いている。
全土におかれた米軍基地によって日本は米軍の「不沈空母」とされ、密約によって核兵器が持ち込まれ、1972年まで米軍占領下にあった沖縄には最大1300発もの核兵器が貯蔵され、核戦争の瀬戸際に置かれてきた。さらに、300万人ものベトナム人民の命を奪ったベトナム侵略戦争、アフガニスタン・イラク戦争など無法な戦争の出撃拠点とされてきた。
その米軍基地には現在、米同盟国中最多の約5万5000人が駐留し、世界最大約8000億円もの日本政府による駐留経費負担で基地が増強され続けている。さらにトランプ政権の下で、新たな核兵器の持ち込みの危険も生まれ、一方で、中国、ロシア、北朝鮮も新たな核戦力の増強を進めるなど、日本列島周辺を中心に、核軍備競争が激化する極めて危険な事態が生まれている。
しかも重大なことは、安倍政権が史上最大の大軍拡予算で、米軍と一体化する自衛隊の大増強を進め、敵基地攻撃能力を強化し、これまで憲法上保有できないとしてきた攻撃型兵器の保有にまで踏み出そうとしていることである。2015年に強行された戦争法によって、日本はアメリカの戦争に地球規模で参加する体制を強化しているが、安倍政権はさらに集団的自衛権を全面的に行使できるよう、憲法改悪に執念を燃やしている。
この日本とアジア、世界の平和を脅かす日米軍事同盟強化の道を何としても止めなければならない。いま、新型コロナウイルスで国民と人類が命の危機に直面し、「『軍事力による安全保障』から『人間の安全保障』へ」、「戦争や紛争でなく、命を守る国際協力を」「軍事費削ってコロナ対策へ」の声が大きく広がっている中で、この道の愚かしさはいっそう浮き彫りになっている。
日本が歩むべきは、核兵器禁止条約への参加であり、ASEANのような紛争の平和的解決めざす共同体づくりであり、南北首脳宣言、米朝首脳宣言に示されている方向での非核平和の朝鮮半島・北東アジアの構築である。こうした方向と軍事同盟体制とは、本質的に相容れない。
沖縄・辺野古新米軍基地建設に大きく立ちはだかっている沖縄県民のたたかい、陸上自衛隊「イージス・アショア」ミサイル基地計画を停止させた山口、秋田両県民のたたかいなど、全国各地で基地強化反対運動が沸き起こっている。日米地位協定に対しては、全国知事会も抜本改定を求めている。世論調査では、憲法9条「改正」に反対が69%(時事通信6月22日)に上っている。
私たちは、市民と野党の共闘を発展させ、日米軍事同盟の下、憲法を破壊し、アメリカと共に海外で戦争する国づくりを進める安倍政権を退場させるために全力をあげる。同時に、日米安保条約を廃棄し、日本国憲法が真に輝く日本を実現するため奮闘する決意を、ここに表明するものである。