【埼玉・所沢】
米軍通信基地へ土砂搬入開始 市民の声聞け
東京の米軍横田基地の工事にともない発生した土砂を米軍所沢通信基地(埼玉県所沢市)に搬入する問題で米軍は12日、地元の反対を押し切って土砂搬入を開始しました。搬入車両が出入りする基地ゲート前では所沢平和委員会などの呼びかけで抗議のスタンディングが行われています。
市民無視の搬入
米軍の通告通り、午前10時から搬入作業が開始され、土砂を積んだ3台のダンプカーが搬入のために設けられた基地南西側の仮設ゲートから進入しました。初日はこの3台のみでしたが、翌週から搬入が本格化。15日は28台、18日には90台が土砂を搬入しました。
作業は来年2月までの予定で総計約3万7000立方㍍分の土砂が1日最大120台のダンプカーで運び込まれるとされています。
搬入される土砂は横田基地の敷地内にある外周道路で滑走路と交錯する部分の切り替え工事にともない発生した工事残土です。市は米軍による土壌汚染調査は相当期間が経過しているとして、搬入される土砂について、国として再調査を実施するよう要請。これに対し、北関東防衛局は「米軍の調査結果は全て基準値内で、再調査は考えていない」と回答。市が求める汚染土壌や産業廃棄物が含まれていないことを求める証明書提出もなされていません。
市議会は先月29日に全会一致で搬入中止を求める意見書を採択。市の基地対策協議会も2回にわたって搬入中止を求める要請書を防衛省に提出しています。こうした土壌汚染への懸念や通信基地の目的外使用、基地の全面返還の願いに逆行する土砂搬入に市民の反発が強まっています。
広がる抗議行動
土砂搬入の強行に対し、所沢平和委員会や「オスプレイから市民のいのちを守る所沢連絡会」はゲート前での抗議行動を呼びかけています。初日は市民20人が「汚染?土砂搬入反対」「やめて土砂搬入」と書かれたプラカードを掲げるとともに、「一方的な土砂搬入は反対」などとシュプレヒコールを上げました。
横田基地での工事は特殊作戦機CV22オスプレイの専用施設建設のための使用を前提とすることが米軍の文書で明らかになっています(『しんぶん赤旗』3月1日付)。搬入開始に合わせてマイクを握った所沢平和委員会の大山茂樹代表は「この土砂は横田基地の機能強化のための工事で出たもの。それを所沢に持ち込むことには絶対反対したい」と力を込めました。
15日は、抗議行動への参加者も40人まで広がりを見せ、近くに住む坂本泰治さん(70)は、シュプレヒコールを聞いて駆け付け、「土砂搬入も問題だし、この基地自体がおかしい」と飛び入りで参加しました。平和委員会と「連絡会」は、今後も連日、ゲート前での抗議行動を行う予定で、長丁場となるたたかいが本格的に始まりました。(平和新聞2019年4月25日)