《声明》名護市長選挙の結果について
――新基地建設阻止のたたかいを発展させ、秋の知事選挙勝利を勝ち取ろう――
2018年2月5日 日本平和委員会
一、 2月4日投票で行われた名護市長選挙は、2期8年間、辺野古新米軍基地建設反対を貫いてきた稲嶺進前市長が、自民・公明・維新が推す安倍政権丸抱えの前市議・渡具知武豊候補に敗れる結果となった。
市民の命とくらし、子どもの未来を守るために基地建設反対を貫き、基地受け入れと引き換えの再編交付金に頼らないで市の財政を豊かにし、教育、福祉、雇用の前進など豊かな実績をあげてきた稲嶺市政を守り切れなかったことは、痛恨の極みである。稲嶺氏の8年間の奮闘に心から敬意を表するものである。
一、 安倍政権は、今回の市長選で新米軍基地建設に立ちはだかる稲嶺市政を転覆するために、ありとあらゆる攻撃をくりひろげてきた。市長選に照準を合わせ、知事による岩礁破砕許可手続きも経ずに無法な護岸工事を強行し、市民に「あきらめ感」を刷り込んできた。そして、実際には基地建設積極推進派の渡具知候補に市長選中は「辺野古の『へ』の字も言うな」と命じ、すべての公開討論への参加を拒否し、争点かくしに躍起になってきた。その一方で、渡具知陣営は再編交付金を受け取ることを前提にした振興策などを前面に選挙戦をくりひろげた。政府・自民党幹部、国会議員が大量に名護市に投入され、業界・会社などの締め付け、組織動員を強力に展開した。公明党や維新の会は自民党と一体となって猛烈な選挙戦を繰り広げ、稲嶺落としの急先鋒としての役割を果たした。
こうした攻撃に対し、平和委員会も参加する沖縄統一連と稲嶺氏を支持する勢力は、基地建設が強行されたといっても進んだのは1%未満であり、市町と知事の権限を活用し、市民・県民が団結すれば阻止できること、再編交付金に頼らないでも市政を豊かに発展させてきた稲嶺氏の実績などを語り広げるために全力をあげてきた。この闘いの中で、無法な米軍基地建設強行に反対する野党共闘が発展したことも重要である。しかし、残念ながら、安倍政権の総力を挙げた攻撃を跳ね返すには至らなかった。
一、 日本平和委員会は、この選挙を沖縄県民の新米軍基地建設阻止、普天間基地撤去のたたかいを勝利させるうえでも、安倍政権の日米軍事同盟強化・「戦争する国」づくりを打破する上でも、決定的に重要な選挙と位置づけ、全国的な支援のとりくみを呼びかけ、奮闘してきた。全国から統一連に寄せられた募金は300万円を超え、現地に駆けつけた支援者は150人を超えた。また、映画会や学習会、連帯集会、沖縄連帯15日行動などをくり広げ、支援の輪を広げてきた。
一、 今回は残念な結果となったが、選挙の出口調査の世論調査でも、依然として市民の多数は辺野古新基地建設に反対している。当選した渡具知新市長と安倍政権・自公勢力は、この市民と県民の世論に直面せざるを得ない。また、翁長知事の持つ様々な権限を避けて基地建設を進めることはできない。今後も決定的な力となるのは、市民と県民の世論と運動、市民と知事、「オール沖縄」勢力の団結の力である。
今後、安倍政権は、新基地建設の工事を加速させるとともに、憲法改悪の策動も本格化しようとしている。私たち日本平和委員会は、今後とも沖縄県民、名護市民と固く連帯し、全国での新基地建設反対、オスプレイ・普天間基地撤去の世論と運動をいっそう強めるため、奮闘する決意である。また、これと一体に、憲法改悪・「戦争する国づくり」に反対するたたかいに全力をあげる。そして、9月の名護市議選での新基地反対勢力の勝利、11月予定の沖縄県知事選挙勝利のために、全国的連帯を広げる決意である。