※日本平和委員会は12月1日に防衛省交渉を実施します。
≪要請≫
防衛大臣・小野寺五典殿
核兵器搭載任務を持つ米戦略爆撃機B52との空自戦闘機の共同訓練と、B2戦略爆撃機の航空自衛隊観閲式への展示飛行計画に抗議し、憲法違反・非核3原則蹂躙の米軍の核軍事威嚇行動への加担の全面中止を求める
2017年11月24日 日本平和委員会
小野寺防衛大臣は11月21日の会見で、今年8月、核兵器任務を持つ米空軍の戦略爆撃機B52が日本列島の上空を横断飛行した後、日本海の空域で航空自衛隊小松基地のF15戦闘機部隊と共同訓練を実施し、B52を護衛する編隊飛行の手順などを確認したことを複数の日本政府関係者が認めたとの報道の、事実関係を認めた。また、安倍首相は11月21日の国会答弁で、10月に百里基地で予定されていた航空自衛隊観閲式で、核搭載任務を持つB2戦略爆撃機の展示飛行を行うことを、「日米政府間で緊密に連携して調整」し予定していたことを認めた。
これは、北朝鮮に対する憲法違反の武力威嚇への加担の新たな段階へのエスカレートであり、断じて許すわけにはいかない。これまでも、米軍のB1戦略爆撃機が韓国に展開して北朝鮮爆撃訓練を行うたびに、日本周辺で航空自衛隊戦闘機が護衛訓練をくり返し、事実上の武力威嚇への加担を行ってきた。しかし、B1が現在は核任務を解かれているのに対し、B52もB2も現在も戦略核爆撃機としての任務が負わされている。しかも、現在B52には、冷戦後初めて、24時間の有事体制をとるようを命じられている。その爆撃機の日本領空の通過とこれを護衛する自衛隊航空機との共同訓練は、非核3原則違反であり、憲法9条違反の武力による威嚇への加担そのものであることは明白である。またそれは、国連で採択された核兵器禁止条約が禁止の対象とした核兵器使用の威嚇への加担そのものである。被爆国民として断じて許すことができない。それは、この地域の緊張をさらに高め、偶発的な軍事衝突の危険を高め、戦争法で「米軍武器防護」が認められているもとで、日本の核戦争への自動的な参戦に道を開く以外のなにものでもない。
我々は政府に対し、次の点を明らかにすることを求めるものである。
① 報道によれば、政府関係者は、B52との訓練前に核を搭載しないことを確認したとしているが、いつ、どのような形でそれを確認したのか?B52が24時間有事体制に入っている中で、朝鮮半島周辺に展開する際に核兵器を取り外すとは想定できない。もし搭載したままだったとすれば、明々白々の非核3原則蹂躙である。
② 仮に、万が一、核兵器を搭載していなかったとしても、核搭載任務を持った戦略爆撃機との日米共同訓練自身、非核3原則を蹂躙するものだと言わざるを得ない。小野寺防衛大臣は、この訓練について、「日米の対処能力をさらに緊密にして向上を図ることが、北朝鮮に対する圧力につながる」と述べ、これが北朝鮮を意識した極めて実戦的なものであることを認めている。これは、アメリカによる北朝鮮への核威嚇への加担そのものであり、非核3原則と憲法に違反すると考えるが、いかがか。
③ この訓練の背景には、2015年4月に改定された「日米防衛協力指針」が「米国は、引き続き、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供する」とし、今年2月の日米首脳会談で「核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)はゆるぎない」とするなど、日米政府間でいざという場合の米国の核戦力の使用を前提とした軍事威嚇体制構築を確認していることがある。今回の訓練や展示飛行の計画は、この方針もとづくものではないか? 安倍首相の支持するトランプ政権の「あらゆる選択肢」のなかには、こうした米戦略爆撃機による攻撃とそれへの航空自衛隊の護衛が含まれており、それを想定した訓練ではないかと考えざるを得ないが、いかがか?
私たちは、憲法にも非核3原則にも違反するこのような危険極まりない訓練や行動を、ただちに全面的に中止することを求めるものである。そして、日本政府が核兵器禁止条約に加入し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題の平和的解決のために全力をあげることを、強く求めるものである。