≪声明≫
安倍首相の疑惑隠し解散に抗議し、総選挙で平和の審判を下そう
2017年9月28日 日本平和委員会
一、安倍首相は、9月28日、臨時国会冒頭に衆議院を解散するという暴挙に出た。これは、憲法第53条に基づき野党4党が要求してきた安倍首相の国政私物化疑惑=「森友・加計学園」問題の解明のための臨時国会開会に3か月も背を向けた挙句、臨時国会を開会したとたんに所信表明演説も各党の代表質問も一切行わず衆議院を解散するというもので、憲法違反、議会制民主主義のじゅうりんの、戦後かつてないファッショ的手法である。それは、野党による「森友・加計学園」疑惑追及封じをねらった卑劣極まる暴挙であり、国民の批判に追いつめられた結果である。
このような民主主義と憲法を蹂躙する強権的な政治姿勢は、国民の圧倒的多数の反対の声を無視した、憲法違反の集団的自衛権行使に道を開く「戦争法」(安保法制)や国民監視社会に道を開く「共謀罪」の強行、政府・防衛省ぐるみの南スーダン派遣自衛隊部隊の「日報」隠蔽問題などに示される、安倍政権の一貫した政治姿勢である。
この安倍政権の強権的政治姿勢に、今度の総選挙で明確な審判を下さなければならない。
一、この総選挙で安倍首相がもくろんでいるのは、北朝鮮の核・ミサイル開発に対する対話拒否・軍事的圧力一辺倒の危険な路線、これをテコにした「戦争法」の実施強行、日米軍事同盟と基地強化・軍拡推進、9条改憲路線をすすめる新たな政治的基盤の確保である。安倍政権与党が今度の選挙で過半数を確保した暁には、政権の補完勢力も巻き込みながら、この路線を強力に推進しようとしているのである。
しかし、この路線は極めて危険である。安倍首相の「最大限の圧力を」のなかには、トランプ米政権の軍事的選択肢(先制攻撃)も含まれている。そして、トランプ大統領の「場合によっては北朝鮮を完全に破壊する」との国連演説に対し、北朝鮮の金正恩北朝鮮労働党委員長が「史上最高の超強硬対応措置を断行する」との声明を発表するなど、双方の軍事挑発の言動が過激化し、エスカレートしている。安倍首相はこうしたトランプ大統領の対応を無条件に支持するとともに、日本の軍事基地を拠点として米軍が軍事威嚇行動をエスカレートさせ、これに自衛隊が日米共同訓練、米艦船防護などの形で参加する政策を進めている。このなかで、北朝鮮と米国が予期せぬ軍事衝突を起こす危険が高まり、「戦争法」にもとづいて日本が参戦する危険が生まれている。このような道は断じて進めてはならない。ましてや、自衛隊の際限ない海外での武力行使容認に道を開く、9条改憲は断じて許してはならない。
いま求められているのは、北朝鮮に対し国連安保理決議に基づく経済制裁を行うとともに、軍事挑発の悪循環を断ち切り、対話の回路をつくりだし平和的解決への道を開くことである。また、唯一の被爆国として日本が核兵器禁止条約に加入し、北朝鮮とアメリカにも加入を働きかけ、核兵器のないアジアと世界の実現の積極的イニシアティブを発揮することである。そして、日本をアメリカの戦争に参戦させる「戦争法」を廃止し、9条改憲を阻止することである。根本的には、日本をアメリカの戦争の拠点にする米軍基地と日米軍事同盟強化に反対し、米軍基地も軍事同盟もない日本、憲法9条が生かされる日本へと転換することである。
総選挙直前に小池都知事を代表とする「希望の党」なる新党が結成されたが、この党は憲法違反の「戦争法」を容認し、9条改悪を含む憲法改定を明確に掲げており、まさに安倍政権の補完勢力というべきである。
私たちは、今度の総選挙で、平和と憲法を守る政策を広く国民の中で訴え、安倍政権の憲法破壊・日米軍事同盟強化の路線に反対する世論を広げるために奮闘するものである。そして、安倍政権の暴走に反対する広範な人々と共同し、市民と野党の共闘を求め、必ず安倍政権の暴走をストップさせる審判を下すため、奮闘する決意を表明するものである。