《声明》
「日報」隠ぺい問題に関する「特別防衛監察の結果」について
――戦闘地域への自衛隊派遣正当化のための組織ぐるみの情報隠ぺいに抗議し、
国会での徹底究明、戦争法の廃止を求める――
2017年7月28日 日本平和委員会
一、本日、防衛省の防衛監察本部は、防衛省・自衛隊による南スーダン派遣部隊の「日報」隠ぺい問題についての監察結果を公表した。
これは日本平和委員会機関紙「平和新聞」の布施祐仁編集長が、昨年7月及び9月の二度にわたり同「日報」の情報公開請求を行ったのに対し、防衛省が「すでに廃棄」と「日報」の不開示決定を通知してきたことに端を発する問題である。しかし、その後の調査と国会内外の追及で、「日報」が統合幕僚監部及び陸上自衛隊(中央即応集団)に保管されていることが明らかになり、その隠蔽の経緯と責任を明らかにすることが国会内外で強く求められていた。
今回の監察本部の報告でさえも、陸幕、統幕が当初から「日報」が存在していることを知りながら、「文書不存在」として不開示手続きを実施したこと。しかも、その虚構の説明に実態を後から合わせるために、陸自に保存されていた「日報」データを次々と廃棄していった事実も認めている。また、こうした対応を防衛事務次官や統幕総括官、陸幕長らが協議してすすめてきた事実も認めている。ただし、稲田防衛大臣が陸自に「日報」が保管されていた事実やそれを隠蔽する方針について報告を受けたかどうか、大臣がそれを了承したかどうかの事実についてはあいまいにしている。ここに、防衛相直接の命を承けて行う特別防衛監察の制度的限界が示されている。特に重大なことは、この隠ぺいに首相自身がかかわっていた疑惑も国会論戦で浮上してきたことである。私たちは引き続き真相の徹底解明のために、防衛省・陸自関係者、稲田防衛大臣などを国会に証人喚問することを強く求めるものである。
一、本来、国民に公表されるべき「日報」が不法に隠ぺいされ、現地部隊が報告した南スーダンの「戦闘」の実相を隠し、安保法制(戦争法)にもとづき「駆けつけ警護」等の新任務を付与して自衛隊部隊の派遣を強行したことは、主権者国民と生命の危険をかける自衛隊員に対する許しがたい背信行為である。この背景には、自衛隊員の生命と安全よりも、なによりもまず憲法違反の戦争法を発動することを優先し、自衛隊を内戦状態の現地に送り込み、「殺し殺される」戦闘に参加させ、「海外で戦争できる国」への第一歩とすることをめざしてきた、安倍首相の憲法蹂躙の政治姿勢がある。防衛大臣と、事務次官、陸幕長双方が辞任するという深刻な混乱事態を招いた最大の責任が、自衛隊の最高指揮官たる安倍首相にあることは明白である。
私たちは、引き続く真相究明と、徹底した情報公開、戦争法の廃止を求めるものである。また、国民世論に背を向け、憲法改悪と「戦争する国づくり」に狂奔する安倍政権の、一刻も早い退場を実現するために、全力をあげる決意を表明するものである。