≪声明≫
憲法違反の「共謀罪」の衆院本会議採決強行に抗議し、廃案を求める
2017年5月23日 日本平和委員会
自民、公明の与党と日本維新の会が衆院本会議で、国民多数の反対の声に背を向け、「内心」を処罰対象にする「共謀罪」法案の採決を強行したことに、断固として抗議する。
この法案は、審議をすればするほど人権を侵害する危険な中身が明らかになり、国民の不安と懸念が広がって、今国会で成立させる必要はないという声は、どの世論調査でも多数を占めるに至っている。世論に背を向け、野党の抗議も無視して委員会質疑を一方的に打ち切り採決を強行した、自公と維新の責任は極めて重大である。思想・良心の自由を脅かす憲法違反の悪法を、民主主義を破壊する強引な手法でおしすすめる安倍政権の暴走は絶対に許されない。
この法案は、犯罪が起こっていない段階でも2人以上が犯罪を「計画」し「準備」したと捜査機関が判断すれば、取り締まり、処罰の対象にするものであり、犯罪があって具体的な被害が生じた場合に初めて処罰することを基本原則とする、近代刑法の大原則を覆すものである。それゆえそれは、捜査当局の恣意的な判断によって、メール、電話などあらゆるものを監視の対象とする国民監視社会を生む危険をもつものである。こうした危険性が、審議をすればするほど明らかになってきたのが実態である。私たちは、憲法が保障する、思想・良心の自由(19条)、集会・結社・表現の自由、通信の秘密(21条)などに根本から反する「共謀罪」の廃案を引き続き断固求めるものである。
安倍首相は、共謀罪法案強行をごり押ししながら、一方で、2020年までの憲法9条改悪をおしすすめる宣言を行い、自民党全体を強引にその方向でまとめようとする動きを強めている。これが、憲法9条を死文化させ、海外での無制限な武力行使に道を開こうとするものであることは明らかである。かかるアメリカとともに「海外で戦争する国づくり」の策動と、国民監視国家をつくる「共謀罪」強行の動きは一体のものである。
私たちは、この間世論を大きく変えてきた国民の運動に確信を持ち、この法案の危険性を徹底的に広範な人々に知らせ、その廃案をめざす参院段階での闘いに全力をあげる決意を、ここに表明するものである。