《談話》 南スーダンからの自衛隊撤収について

2017/03/11

声明・談話

《談話》
南スーダンからの自衛隊撤収の決定について


2017年3月11日
日本平和委員会事務局長・千坂 純

一、安倍政権は3月10日夕、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵している陸上自衛隊を5月末に撤収させることを決定した。
 これは、内戦状態の続く南スーダンへの戦争法にもとづく武器使用任務を付与しての自衛隊派兵が、憲法にもPKO5 原則にも反する暴挙だとして撤退を求めてきた、日本国民の世論と運動の大きな成果である。私たち日本平和委員会も、「平和新聞」編集部が南スーダン派遣部隊「日報」の情報開示請求を行い、安倍政権が南スーダンが戦闘状況にあることを国民の目から隠蔽して自衛隊派兵を推進してきた実態をあぶり出すなど、撤退を求める国民の闘いの一翼を担って奮闘してきた。
 私たちは、安倍政権が国民に情報を隠し欺き続けてきた責任を認め、南スーダンから自衛隊部隊をただちに撤退させることを、断固として求めるものである。

一、ところが政府は、撤退決定にあたっても、「国内の安定に向けた政治プロセスに進展が見られ」「施設活動は一定の区切りをつけることができる」(「活動終了に関する基本的考え方」)「治安悪化を理由に活動を終了をするのではない」(稲田防衛大臣)などと、あくまでも国民へのうそを重ねようとしている。しかし、国連の専門家が「大虐殺が起きる恐れが常にある」と再三警告し、周辺国に逃れた難民が 150 万人を超え、国連南スーダン派遣団事務総長特別代表が「深刻な食糧不足にもかかわらず、戦闘の危険により、人道支援団体が避難や撤退を余儀なくされている」と警鐘を鳴らし(3月3日)、南スーダン政府の幹部が政府の民族浄化政策などに反発して相次いで辞任し反政府勢力を立ち上げるなど、南スーダンが大惨事の起きかねない重大な内戦状態にあることは明白である。政府のうそと現実とのかい離をもはや覆い隠せなくなり、自衛隊員が戦闘に巻き込まれ犠牲者が生まれる可能性が高まったなかで、撤退を余儀なくされたことは明らかである。報道では、与党内では「隊員が一人でも亡くなれば政権は吹っ飛ぶ」(自民党幹部)などの声が上がっていたという。
 安倍政権のやるべきことは、情報隠ぺいの誤りを認め、一刻も早く自衛隊を撤退させるとともに、これ以上の戦闘の拡大を防ぎ和平を実現するために全力をあげることである。
 また、難民などへの人道支援を強化することである。これこそが憲法 9 条を持つ日本のやるべき役割である。

一、私たちは、今後とも、憲法違反の戦争法の発動・具体化を許さず、戦争法を廃止する闘い、憲法改悪を許さず、憲法にもとづく平和な日本を実現する闘いを前進させるために、全力をあげる決意を表明するものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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