≪談話≫
安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談について
トランプ追随の異常な日米軍事同盟強化路線の推進に反対しよう
2017年2月11日 日本平和委員会事務局長・千坂 純
一、安倍首相とトランプ米大統領は2月10日、初の日米首脳会談を行い、共同声明を発表した。
この会談は、トランプ大統領のイスラム圏7か国国民の入国一時禁止令が人権を蹂躙し分断と憎悪を拡大するものだとして、米国内外の激しい批判を浴びる中で行われた。しかし、安倍首相は、米同盟諸国も批判の声を上げているこの措置に、「コメントを差し控える」と述べ、一切の批判を行わなかった。この恥ずべき態度に、米メディアからも「こんなに大統領におべっかを使う外国の首脳は見たことがない」(ニュース専門局のMSBCアナリスト、デッビッド・コーン氏=朝日新聞2月12日付)などの批判と失笑の声が上がっている。
一、この異常なトランプ追随、「日米同盟第一」の立場から、日米首脳会談では、危険極まりない日米軍事同盟強化の合意が行われた。
①共同声明では、「核及び通常戦力の双方による、あらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント」が明記された。日米首脳共同声明での米「核」戦力による防衛の明記は1975年以来とされ、日本の強い要求にもとづき明記されたという(産経新聞2月12日)。いま世界の圧倒的国々の賛成の下で、今年3月から国連で核兵器全面禁止条約締結めざす会議が開かれようとする中で、アメリカにいざという場合の核兵器使用の誓約を求める――それは、被爆国にあるまじき、核兵器全面禁止を求める世界の努力に逆行する反人類的姿勢であり、アジアの核軍拡競争を激化させるものである。
②共同声明では、「米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす。日米両国は…『日米防衛協力の指針』で示されたように、引き続き防衛協力を実施し、拡大する」と、地球規模でアメリカと軍事行動を推進することを確認した「指針」にもとづき、日本の軍事的役割を拡大強化することを誓約した。安倍首相は記者会見でも、「積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていく」と述べた。そして共同声明は、「日米同盟をさらに強化するための方策を特定するため、安全保障協議委員会を開催する」ことも指示した。これは、戦争法にもとづき、日本がアメリカの戦争に地球規模でいっそう積極的に加担する道=憲法破壊の道を約束したものに他ならない。この道を断じて許すわけにはいかない。
③共同声明はまた、沖縄・名護市辺野古への新米軍基地建設と全国での米軍再編強化を推進する立場を改めて確認している。安倍首相は、トランプ大統領への手土産として、訪米直前に沖縄県の中止要請を無視して、辺野古新基地海上工事への着手を強行したが、こうした民意を踏みにじる無法の基地建設を強行する立場の表明に他ならない。
一、このように、「日米同盟第一」の立場から「米国第一」のトランプ政権に全面的に追随し、核兵器固執、戦争法にもとづく日本の軍事的役割拡大、沖縄はじめ米軍基地強化の推進など、憲法破壊の危険な日米軍事同盟強化路線を誓約したのが、今回の会談である。私たちは、「憲法第一」「国民第一」の立場でこれを阻止するために、全力をあげることを表明する。そして、日米軍事同盟をなくし、日米平和友好協力条約を結び、対等平等の日米関係に転換し、憲法にもとづく平和外交をすすめる日本を実現するため、全力をあげる決意を表明するものである。