内閣総理大臣 岸田文雄 様
防衛大臣 木原 稔 様
2023年11月30日 日本平和委員会
オスプレイ墜落の原因究明と、全てのオスプレイの飛行中止と撤去を求める
~屋久島沖での墜落・死亡事故を受けて~
米軍横田基地(東京都福生市など)所属のCV22オスプレイが11月29日、鹿児島県の屋久島沖で墜落した。乗員は6人で、同日夜の時点で1人の死亡が確認された。国内では初めての死亡事故となる。
事故機は岩国基地(山口県)から嘉手納基地(沖縄県)に向かう途中で、屋久島空港に緊急着陸するとの通報後、同空港から南東に2キロから4キロほどの海上に墜落したとみられている。仮に地上に墜落していたら、甚大な人的被害があり得た。また横田基地周辺であれば、数十万人が住む人口密集地である。
オスプレイは開発段階から事故を繰り返し、今回の事故を除いても57人が亡くなっている。今年8月27日に米海兵隊MV22がオーストラリアで訓練中に墜落した事故では3人の乗員が死亡、5人が重傷を負ったのをはじめ、昨年以降に限っても3回墜落し、12人の乗員の命を奪った。また国内では米海兵隊機、米空軍機、自衛隊機のいずれも緊急着陸を繰り返している。
背景にはいくつもの構造的欠陥が指摘される。緊急時に不時着するためのオートローテーション機能の欠如をはじめ、オスプレイ特有のクラッチの不具合であるハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)を起こす構造を持ち、その現象が起きれば制御不能になる。根本的な原因はいまだに解明されず、対策も確立していないことは、米軍自身が認めている。
しかし防衛省は、構造的欠陥の存在を頑なに認めない。クラッチの不具合については、800時間の飛行を経過した部品は交換すれば確率は99%低減するという米軍の説明を繰り返すのみで、独自の検証もないままに飛行を認めてきた。緊急着陸については、それが安全性の証左であるかのような態度に終始している。さらには、日米共同訓練などへの米軍機・自衛隊機のオスプレイの参加を拡大してきた。
こうした日本政府の無責任な態度が、今回の事故を引き起こしたと言っても過言ではない。この期に及んでなお岸田首相は、「米軍にも協力してもらい事故の実態を確認した上で、何が必要で何が求められるのか検討し、考える」と述べるのみで飛行中止要請に応じていない。宮澤防衛副大臣は「墜落ではなく不時着水」と述べ、あくまで米軍の責任を問おうとしない。こうした異常な対米追随の態度は、事故原因の究明を遠ざけ、次の事故を呼び込みかねない。
われわれは政府の対応に抗議すると共に、事故原因の究明と結果の公表、CV22はじめオスプレイの即時飛行中止、米軍機・自衛隊機ともに全てのオスプレイの撤去を求める。横田基地へのCV22の追加配備や、佐賀空港の自衛隊オスプレイ基地化はただちに中止することを求める。