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防衛大臣・岸 信夫殿
外務大臣・林 芳正殿
在沖米軍内での新型コロナ集団感染問題
――米軍関係者の入国制限を行い、オミクロン株検査をはじめ日本の検疫を義務付けるよう、日米地位協定の抜本改定を要求する
2021年12月20日 日本平和委員会
在沖縄米軍キャンプ・ハンセンで、米本国から米軍嘉手納基地経由で移動してきた米兵の新型コロナウイルス集団感染が発生し、20日午前時点で180人に広がっているとされる(松野官房長官発表)。
しかも、沖縄県内で確認されたオミクロン株感染者3人は、外国渡航歴のないハンセン関係者(基地従業員と米軍属女性とその夫の日本人男性)であることから、オミクロン株に感染している可能性もあるとして、大きな不安が広がっている。
ところが、米軍は在日米軍基地にゲノム解析をする機器がないため、沖縄県が日本の機器を使用してゲノム解析を行うことを要請しているにもかかわらず、個人情報保護を理由に断っている(本国で行う場合、解析には数週間かかるとされる)。
訪日する米兵にも、14日間の隔離措置が取られると言っているが、その実際の運用については、県や日本側が検証するすべがない。ワクチンを2回接種すれば、入国直後から基地内を自由に移動できたとの情報もあるという(沖縄タイムス12月19日)。
いま、沖縄も含め全国でオミクロン株の流入を防ぐため、全世界からの入国原則禁止の措置が取られるなど、全力をあげた努力がはらわれているときに、これは由々しき事態である。
こうしたことが起こる根本には、日米地位協定によって、米軍関係者に日本の国内法が適用できず、日本による検疫が行えない構造がある。入国規制についても在日米軍基地は抜け穴となっている。このままでは、在日米軍基地からオミクロン株感染が拡大する危険がある。
私たちは、日本政府に対し、米軍関係者にも検疫ができるよう日米地位協定を抜本的に改定することを求めるものである。また、現状では、米軍関係者にも入国禁止措置を厳格に適用すべきである。日本政府として感染防止措置が厳格に実施されているかどうか、自ら検証すべきである。米軍の日米共同訓練への参加はじめ、国内移動を禁止すべきである。基地従業員の感染防止策や、従業員家族のPCR検査の実施など、関係自治体の要望に全面的に応えるべきである。
市民の安全を守る立場から、以上のことを強く要求するものである。