《声明》
基地周辺住民などの権利を侵害する重要土地規制法案に反対する
2021年3月27日 日本平和委員会
政府は3月26日の閣議で、米軍・自衛隊基地や原発、国境離島などの土地利用を規制する「重要土地等調査法案」を決定した。
これは、米軍や自衛隊基地、海上保安庁、原子力発電所などの周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定。政府に所有者の国籍や利用実態の調査権限を与える。また、司令部機能や警戒監視機能を持つ米軍・自衛隊基地など、特に重要な場所は「特別注視区域」とし、一定面積以上の土地取引にあたっては、売り手、買い手双方に氏名や利用目的の自前届け出を義務付けるとするものである。そして、「利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島などの離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときは」必要な措置を取るよう勧告・命令することができ、従わなければ「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」などの罰則を科すというものである。法案では施設機能を阻害する行為の特定はされず、極めてあいまいである。
これは、米軍・自衛隊基地周辺の住民の個人情報を収集し、その行動を監視し、思想調査に立ち入りかねない法案であり、私たちはその撤回を求めるものである。これが実行されれば、基地周辺住民が基地機能を阻害しようとしているか否かを、政府が日常的に調査することが可能になる。そして、基地を監視・告発・抗議する活動も、“基地機能を阻害する恐れのある活動”として規制されかねない。
米軍・自衛隊基地は爆音や環境破壊、戦争の危険など、周辺住民に日常的に深刻な被害をもたらしている。とりわけ沖縄の米軍基地は、米占領下に銃剣とブルドーザーで住民の土地を強奪し建設され、今も深刻な被害を周辺住民にもたらしている。守るべきはその周辺住民の権利である。ところが法案は逆に、基地を守るために周辺住民を監視し、規制しようとするものであり、本末転倒もはなはだしいといわねばならない。私たちは、基地周辺住民の権利を侵害するこの法案の撤回を強く求めるものである。