≪声明≫
内閣総理大臣・菅義偉殿
学術会議への不当な政治介入をやめ、任命拒否を撤回せよ
2020年10月2日 日本平和委員会
菅義偉首相は、日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を拒否した。これは暴挙というほかない。同会議が推薦した候補が任命されなかった例は過去にない。それは、「独立して…職務を行う」(日本学術会議法3条)学術会議の学問の自由と自主性を保障する上で、不可欠な原則だからである。同会議発会式に吉田茂首相(当時)が寄せた祝辞でも、「日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、その使命達成のためには、時々の政治的便宜のための掣肘を受けることのないよう、高度の自主性が与えられておる」と述べていた。1983年に会員の公選制から推薦制に変えた同法改正の際の国会答弁でも、丹羽兵助総理府総務長官(当時)が、政府の干渉を排する立場から、「学会の方から推薦していただいたものは拒否はしない」と明言していた。
私たちは日本学術会議法に反し、憲法23条の「学問の自由はこれを保障する」との明確な条項を踏みにじる違憲、違法の任命拒否を、ただちに撤回することを求めるものである。今回の事態は、憲法を破壊してきた強権的な安倍政治を全面継承するとする菅政権が、異論を強権で排除するファッショ的体質を持っていることをまざまざと示したものである。歴史の教訓は、学問の自由を侵すことが、戦争への第一歩であることを教えている。1935年の美濃部達吉博士(東京帝国大学教授、憲法学)の「天皇機関説」への権力による攻撃が、中国侵略、アジア太平洋戦争への道を開いたことを想起すべきである。私たちは、この政権の一刻も早い退場を求め、草の根からの平和運動と市民と野党の共闘を発展させるため奮闘する決意を、ここに表明するものである。