イージス・アショア配備計画停止表明を受けて

2020/06/15

声明・談話

【声明】
河野防衛大臣の「イージス・アショア」配備計画停止表明を受けて
――秋田・山口両県民のたたかいの歴史的成果、計画の全面的な白紙撤回を求める――


2020年6月16日 日本平和委員会 

 河野太郎防衛大臣は6月15日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を秋田県と山口県へ配備する計画を停止すると発表した。同大臣は、弾頭から切り離したブースターを、「確実にむつみ演習場に落とせることにならないと判明し、(改修の)コスト、期間を考えると配備のプロセスを進めるのは合理的ではないと判断せざるを得ない」ことを理由として挙げた。改修には約12年、2000億円以上かかるとの見通しを示した。これは事実上、現在の配備計画を断念することの宣言に他ならず、この配備に反対し粘り強い運動をすすめてきた秋田市民、山口県・阿武町民はじめ、秋田・山口両県民の闘いが生み出した歴史的成果である。私たちは、命と暮らし、平和を守る切実な要求で立ち上がり、闘い続けてきた市民のみなさんに心からの敬意を表する。
 両県の市民は、このブースター落下の危険はじめ、近隣市民への電磁波被害、配備によって攻撃の対象とされる危険などの問題点を厳しく追及してきた。この中で、むつみ演習場を抱える阿武町では、住民の過半数が参加する「イージス・アショアの配備に反対する阿武町民の会」が結成され、町長も先頭に立って反対してきた。新屋演習場を抱える秋田市でも隣接する地元16町内会で構成する新屋勝平地区振興会が断固として反対を貫き、秋田市はじめ県内25市町村中23市町村が反対決議を採択。参院選挙では反対する野党統一候補が勝利し、知事も秋田市長も「地元の理解を得るのは難しい」と政府に伝える状況を創り出してきた。今回の「計画停止」宣言は、こうした市民の粘り強い闘いに追いつめられ、あらゆる点で計画が破綻した結果である。
 これまで政府・防衛省は、住民への説明会で「ブースターは確実に演習場内に落下させる」と繰り返してきた。今回の防衛大臣の表明は、それがまったくの虚偽答弁であったことを明らかにした。この計画をめぐっては提出データが誤っていたことが明らかになり、「再調査」を行っているが、今回の事態で、これまでの説明があらゆる点で虚偽に満ちたものである可能性がいよいよ強まってきた。
 私たちは、この計画は「日本防衛」とは無縁の、「アメリカ防衛」のための計画であり、周辺諸国との緊張と日本をアメリカの戦争に巻き込む危険を高めるものであり、周辺住民に多大な健康・環境破壊をもたらすだけの、巨額の浪費だと批判してきた。私たちは、両県民とともに、計画の「停止」に止まらず、「イージス・アショア」配備計画そのものを全面的に白紙撤回することを断固として求めるものである。そして、その予算をコロナ禍で苦しむ国民生活に振り向けることを強く求めるものである。

カウンター〈21/06/18-〉

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