《声明》
外務大臣・茂木敏允殿
防衛大臣・河野太郎殿
米軍普天間基地からの有害泡消火剤流出・飛散事故に抗議し、立ち入り調査の実施と在日米軍基地の泡消火剤保有・使用状況の調査、日米地位協定の改定を求める
��020年4月17日 日本平和委員会
4月10日に沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)から有害な化学物質PFOSを含む泡消火剤が大量に基地外に漏出・飛散し、宇地泊川に大量に流出した。漏出総量は22万7100㍑で、うち6割超が基地外に流出したとされる。
PFOSは、発がん性などの健康リスクが指摘され、2006年、米環境保護庁が製造を禁止。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約でも、09年に製造、使用、輸出入を制限すべき物質に指定し、日本でも製造、使用、輸出が禁止されている。日本政府は、米軍は16年以降はこれを含まない製品に転換を進め、使用していないと説明してきた。
今回の事故は、この説明が虚偽であり、実際には今もPFOSを含む泡消火剤が保有・使用されている実態が明らかになった。報道(沖縄タイムス4月15日付)によれば、米国防総省の報告書は、PFOSの代替品を開発中だが、完成のめどが立っていないとしている。河野防衛相も14日の記者会見で代替品のない事実を認めている。
この事故に対し、沖縄県も宜野湾市も基地への立ち入り調査を求めている。こうした声に押されて防衛省も、初めて日米地位協定の環境補足協定に基づき、事故4日後にようやく基地立ち入りを申請した。これまで県は、嘉手納基地や普天間基地での泡消火剤流出の事実が明らかになり、また、基地周辺の湧き水などからPFOSが高濃度で検出されるたびに、基地への立ち入り調査を求めてきた。米軍はかたくなにこれを拒否し続けてきたが、今回も「すぐにはできない」などとして、いまだに回答してきていない。この米軍の態度は、周辺住民、国民の命と安全をないがしろにする許しがたい態度である。
こうした事態を生む根本にあるのは、米軍に基地の排他的管理権を認めている日米地位協定である。同協定の環境補足協定も、米軍が「環境に影響を及ぼす事故(漏出)について通報」することを前提として、政府、自治体が「現地視察を申請することができる」としている。しかも、この申請を認めるかどうかは、調査が「軍の運用を妨げるか」否かなどの、米軍の判断によるのである。調査で土壌サンプルを採取できるかどうかも、米軍の裁量にかかっている。つまりは、すべて米軍任せなのである。日本国民の命と安全を守るために、このような屈辱的な日米地位協定を抜本的に改定し、自治体・政府が必要な立ち入り調査を行えるようにし、米軍に日本の国内法を守らせる必要がある。
以上を踏まえ、私たちは次のことを求めるものである。
��、政府は自治体と共に断固として基地への立ち入り調査を実施できるよう求め、事故の原因、汚染状況を徹底調査すべきである。
��、PFOSを含む泡消火剤の在日米軍・自衛隊基地での保有、使用状況を調査し、公表すべきである。また、普天間・嘉手納・横田基地はじめ米軍・自衛隊基地周辺の地下水・飲料水のPFOS等の汚染状況を調査し、公表すべきである。
��、米軍に対し、PFOSを含む泡消火剤の使用禁止、廃棄を求めるべきである。
��、全国知事会が要求しているように、米軍にも環境法令など国内法を原則として適用し、自治体職員が迅速かつ円滑に基地に立ち入り調査できるよう、日米地位協定を抜本的に改定すべきである。