【日本平和委員会】
沖縄でのヘリ部品落下事故について対政府交渉
「日本政府は自ら調査せよ」「学校上空での飛行禁止求めよ」
日本平和委員会は12月20日、沖縄県宜野湾市の普天間第二小への米軍ヘリ窓落下など相次ぐ事故とCH53Eヘリの一方的飛行再開に抗議し、普天間基地の運用停止・閉鎖・撤去を要求する対政府交渉を行いました。日本平和委員会の岸松江代表理事、千坂純事務局長はじめ、東京平和委員会2人、「横田基地撤去を求める西多摩の会」、「基地のない平和な沖縄をめざす会」、安保破棄中央実委事務局の代表や、全労連の長尾ゆり副議長(日本平和委理事)など14人が参加しました。
▶宜野湾市の緑ヶ丘保育園への米軍ヘリ部品落下事故も、普天間第二小学校への米軍ヘリ窓落下事故も、その真相・原因調査を日本政府自身で行うべき。▶保育園・学校上空での飛行禁止はじめ、CH53Eヘリ、オスプレイなどの飛行を中止すること。▶普天間基地の運用停止・閉鎖・撤去を一刻も早く行い、危険を移すだけの名護市辺野古への新基地建設を中止・撤回することなどを、強く求めました。
重要な論点になったのは、日本政府・捜査当局が自ら事故の経過と原因を調査し、検証することです。防衛省、外務省の担当官らは、普天間第二小学校の事故について、「米軍から情報をもらい、意見交換をして、理解できると判断した」と、自らは何の調査もしないまま「理解」していることを明らかにしました。保育園の事故については、警察も調査中であるとしつつ、米軍が「基地に保管してある」と言っている部品の確認さえ、自ら行うことを明言しませんでした。
しかし、「日本国の当局は、通常、…合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を行使しない」としている日米地位協定第17条10についての日米合意議事録でも、「ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国によるこれらの捜索、差し押さえまたは検証に同意した場合は、この限りではない」とあるように、日本政府が要求し、米軍が同意すれば、捜索・検証ができるとしています。これにもとづき参加者らは、「保育園は『事故はでっち上げだ』などのパッシングを受けて、苦悩している。政府自ら真相の解明を行うべき」「子どもたちの命が奪われたかもしれない事故。容疑者である米軍の報告を鵜呑みにするのでなく、自ら検証すべきだ」「調査要求すらしないのか。いったい、誰を守る政府なのか」「それでも主権国家なのか」と厳しく追及しました。
もう一つは、米軍が「安全対策」として表明した「学校上空を最大限、可能な限り飛行しない」との「約束」についてです。参加者は、「学校長も保育園長も父母も、絶対飛ばないと約束してほしいと求めている。なぜ、絶対飛ばすなと米軍に要求しないのか」と迫りました。その上で、「これまでも普天間基地の騒音規制措置に関する日米合意で『場周経路は、できる限り学校、病院を含む人口周密上空を避ける』としてきたが、例外を理由に日常的に学校や市街地上空を飛び回ってきた。『できる限り』と今回の『最大限、可能な限り』は何が違うのか。同じなのか」と問うと、防衛省担当者は完全に答弁不能に陥りました。
外務省担当者は、「例外は『航空機の安全を確保する場合に限る』ということ」と述べましたが、これは「できる限り」の例外として理由にしてきたことと同じです。「結局、これまでと何も変わらないことになる。これでは子どもたちの命を守ることはできない」と千坂らは批判。「校長先生は、『絶対上空を飛ばないと約束しない限り、子どもたちを校庭に出すことはできない』と言っている。こんな状況に子どもたちをいつまで追い込むつもりなのか。なぜ、少なくとも学校上空を絶対飛ぶなと要求できないのか。それは最低限、政府がやるべきことではないのか」と迫りました。
「沖縄の会」の前田さんは、「これまで沖縄の人びとがどれだけ大変な目にあってきたか、わかりますか。1961年には、うるま市の私が通っていた川崎小学校の隣の民家に米軍機が墜落し、死者2人、負傷者数人が出て、クラスメイトの親友の弟の小学1年生も全身に負傷したのです。こんなことを絶対に、二度と起こしてはならない。だから、沖縄県民は飛行停止を求め、普天間基地の撤去を求め、新基地に反対しているのです」と訴えました。
東京平和委員会の岸本事務局長や「西多摩の会」の高橋美枝子さんらは、東京の米軍横田基地でもC130輸送機が飛行中に有害物質を含む「フレア」が紛失する事故など事故が多発しており、沖縄の問題は決して沖縄だけの問題ではないと、横田基地の人口密集地での米軍の飛行中止を求めました。(千坂純・日本平和委員会事務局長)