【山口】知事へ抗議声明
岩国基地への空母艦載機移駐を容認するな
山口県平和委員会は6月30日、以下の声明を知事あてに送付しました。
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2017年6月30日
山口県知事 村岡嗣政殿
岩国基地への米空母艦載機移駐容認に抗議する
山口県平和委員会 会長 吉岡光則
本日、貴殿は米軍岩国基地への艦載機移駐を容認した。貴殿は容認の根拠として周辺の岩国、和木町、周防大島町の3自治体の首長の意向を尊重するとした。しかし、周辺自治体は3自治体だけでなく、日常的な基地被害で反対決議を上げている廿日市や低空飛行訓練の爆音と墜落の恐怖に晒されている中四国の山間地の住民などに重大な影響を与えることを無視したものである。そして、艦載機移駐問題のこれまでの知事見解である基地機能の強化は認めない、普天間基地の見通しが立たない先行移駐は認めないとの公約も覆すものである。艦載機の移駐で130機に増え、海兵隊と海軍が共存する極東最大の侵略基地へ変貌し、昼夜分かたぬ爆音などの激甚な被害を市民や周辺の住民に与えることは必至である。いま、沖縄では、国が県民の意思や民主主義も踏みにじって新基地建設を強行しようとしている。この暴挙に対して知事と県民が一体となって新基地建設に反対の声を上げ続けている。しかし貴殿は、岩国市長と同様に翁長知事とは合わずに、こうした現状を無視して普天間基地の見通しは立ったとした表明は、沖縄県民の心と自治権を踏みにじるものである。
岩国市長は艦載機部隊の移駐による市民生活の不安への安心安全対策の8割は達成したとしているが、米軍基地の街で繰り返される事故・事件の防止へ核心部分となる地位協定の見直しは要望するだけで市民の命と安全を守る責務を放棄している。貴殿も同様に地位協定は国の責任と県民の将来にわたっての命と安全を守る立場の放棄は許されない。
貴殿はまた、容認の理由に昨今の安全保障環境の下では在日米軍による「抑止力」が必要であり、国の施策だから受け入れるとしているが、艦載機移駐によって市民が受ける深刻な被害をどうするのか、また、本当にこの移転が「安全保障」に寄与するのかを真剣に検討した形跡はない。米軍岩国基地は米国の利益を守るために、武力による先制攻撃を仕掛ける侵略基地である。この間の北朝鮮の核・ミサイル開発とそれに対する日米の対応で明らかになったのは、米空母打撃群が北朝鮮への軍事的威嚇の中心となり、それがこの地域の軍事的緊張を極度に高めていることである。空母艦載機とF35Bステルス戦闘機など米海兵隊航空部隊という2つの「殴りこみ」航空部隊の拠点として大増強する今回の計画は、地域の緊張をいっそう激化させるものでしかない。実際に、市民の間からは、もし軍事衝突が起こったら、真っ先に岩国基地が攻撃されるのではないかという不安が広がっている。
いまやるべきことは、この軍事対軍事の悪循環を断ち切り、軍縮と対話と外交による解決へと舵を切ることである。これに逆行し、県民に深刻な被害を与え、戦争に巻き込む危険を強めるこの異常な岩国基地の大増強は、断じて許されない。
私たちは、ここに改めて貴殿の空母艦載機移駐容認に断固抗議するとともに、その撤回を求めるものである
以上