【談話】
米軍三沢、嘉手納基地での核関連装備故障多発の報道を受けて
浮き彫りになった核兵器持ち込みの危険
――一切の核関連部隊を撤去し、核密約破棄、非核三原則の厳守・法制化を
2016年4月30日 日本平和委員会事務局長・千坂 純
本日、共同通信は、米軍三沢基地(青森県)と同嘉手納基地(沖縄県)で、核の運用を支援するシステムに障害が生じる事故が2009~13年にかけて少なくとも17件(三沢12件、嘉手納5件)起きていたことが、米軍文書で判明したと報じた。それによると、核爆弾も運搬できるトラックが走行中に故障したり、ミサイル発射装置の点検中に検査機器が壊れたりするなどの事故が発生したという。この事実は、三沢、嘉手納基地が、現在もいつでも核兵器を持ち込み、出撃する態勢にあることを示している。
オバマ政権は「2010年核態勢見直し」の中で、同盟国に対する「拡大抑止」のための非戦略核兵器の配備態勢について、「危機にあたって必要な場合、東アジアに非戦略的核システムを再配備する能力」を維持するとしている。そしてその柱に空軍のB61核爆弾を位置づけ、「F-16をF-35統合打撃戦闘機に置き換えつつ、両用任務戦闘機(通常兵器と核兵器とを運搬する能力)を維持する」「米国は、B-61爆弾(核爆弾)の全般的な耐用年数延長計画もすすめる。これはF-35の機能発揮を保障するとともに、B-61の信頼性を維持するため…である。これらの決定は、米国が、同盟にたいする約束を果たすために非戦略核兵器の前進配備能力を維持することを保障している」としている。
つまり、現在F16戦闘機などが積載可能なB61核爆弾を、必要な場合、日本に再配備する態勢をつくっていること。そして、より使いやすい核兵器B61-12に改良する開発をすすめ、それを搭載する能力を持つF35戦闘機を開発しているのである。このF35戦闘機は、今後、嘉手納基地や三沢基地に配備される可能性が高い。
これをふまえて今回報道された事実を見るならば、核兵器持ち込みの日米密約を破棄せず、「極限状況」の下での核兵器使用を容認する日本政府の下で、三沢基地や嘉手納基地に核兵器が持ち込まれ、核の出撃基地とされる危険があることは明白である。このような事態を放置しておくわけにはいかない。
私たちは、今回その一端が明らかになった両基地の核兵器支援システムの実態の全容を明らかにすること、F16戦闘機の撤去とF35戦闘機の配備中止を日米両政府に求めるものである。そして、日米核密約を破棄し、非核三原則を厳守・法制化すること、核兵器はもとより核兵器に関係する一切の装備や部隊も撤去することを、断固として求めるものである。