【声明】
沖縄・辺野古新基地建設埋め立て工事代執行訴訟をめぐる県、国の「和解」について
2016年3月5日 日本平和委員会
一、 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地をめぐり、翁長雄志県知事が昨年10月、辺野古埋め立て承認を取り消したことを不服として国が県を訴えた裁判(代執行訴訟)で、安倍政権は4日、新基地工事の中断などを盛り込んだ「暫定的和解案」を受け入れ、県と国との「和解」が成立した。これは、・国は県への訴訟と不服審査請求を取り下げ、埋め立て工事を直ちに中止する、・国と県は円満解決に向けた協議を行う、・訴訟となった場合、国と県は判決に従う、とするものである。
これは、一方では代執行裁判で国の権限を振りかざして県の埋め立て承認取り消しを取り消すことを求めながら、同時に一方では国が「私人」になりすまし、行政不服審査法を乱用して県の決定を執行停止させ、抗議する市民を暴力的に排除して工事を続行するという、政府の無法で強権的な基地建設強行の手法が行きづまり、破たんしたものである。私たちは、暫定的とはいえ工事を中止に追い込んだ、粘り強い沖縄県民のたたかいに、心から敬意を表するものである。
一、 同時に安倍首相は、「和解」受け入れに当たっても、「辺野古移設が唯一の選択肢」と述べ、新基地建設に固執する姿勢を改めて明言している。報道では、今回の政府の対応が、裁判で県と争い強権的に基地建設をすすめる姿を県民と国民にさらすことが、6月の沖縄県議会議員選挙と7月の参院選挙に悪影響を与えることを避けるためのものだと指摘されている。そして、選挙後に、協議決裂、再裁判、工事再開をもくろんでいると指摘されている。このような選挙戦術を目的とした不誠実な姿勢で協議にのぞむことは許されない。新基地建設ありきの立場を転換し、沖縄県民の民意に耳を傾ける姿勢に立たない限り、この問題の解決はあり得ない。
一、 沖縄県民の民意は、「建白書」に示された普天間基地の閉鎖・撤去、基地の県内移設反対、オスプレイの撤去であることは明確であり、その意思が揺らぐことはない。この民意を無視し、民主主義と地方自治を踏みにじり、強権的に基地建設を推し進める策動は、どんなやり方でも県民に拒否されざるを得ない。「オール沖縄」の広範な県民が団結し、知事、名護市長がすべての権限を行使してたたかえば、そして、この沖縄県民の正義のたたかいを全国の多数の国民が支持し共に声をあげるならば、新基地建設を阻止し、普天間基地の閉鎖・撤去を実現することは、必ずできる。
私たち日本平和委員会も、そのために今後とも全力をあげて奮闘する決意をここに表明するものである。