【声明】
内閣総理大臣・安倍晋三殿
外務大臣・岸田文雄殿
日本政府による日本軍「慰安婦」問題での事実歪める報告に抗議し、その撤回を求める
2016年2月18日 日本平和委員会
16日にジュネーブで開催された国連女性差別撤廃委員会で、日本政府代表団の杉山晋輔外務審議官は同委員会からの質問に対する日本政府の回答として、「日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはなかった」「性奴隷という表現は事実に反する」「賠償は法的に解決済み」などと発言し、各国政府から厳しい批判を浴びている。
これらの発言は、昨年12月28日の日韓外相会談の合意が「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と認め、「日韓両政府が協力し、すべての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う」と約束した立場にも、完全に逆行する、歴史の真実をゆがめる許しがたい暴言である。
日本軍「慰安婦」が軍の関与の下「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例た数多くあり、さらに、官憲などが直接これに加担したこと」「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」ことは、安倍首相が「継承する」としている「河野談話」にも明記されていることである。しかも、実際には軍・官憲によるいわゆる強制連行も行われていたことは、日本軍「慰安婦」裁判の判決でも、東京裁判やBC級戦犯裁判、被害・加害者の証言など、多数の資料によって確認されている。そして被害女性たちは全く人権を蹂躙され性行為を強要される性奴隷状況に置かれていたのである。こうした事実を否定して、「心からのおわびと反省の気持ちを表明」(日韓外相会談発表)しても、それは全く空疎なものでしかない。
私たちは過日の日本平和委員会第3回理事会で、日本軍「慰安婦」問題について、「歴史の真実に立った、被害者が納得する解決を日本政府に求めていきます」とした。そしてその中身として、「日本軍が軍の施設として『慰安所』を計画・設置し管理・統制したこと、女性たちが本人の意に反して『慰安婦・性奴隷』にされ、『慰安所』などにおいて強制的な状況の下に置かれたこと、それが当時の国内・国際法にも反する重大な人権侵害であったことを率直に認め、賠償することです。そして、歴史の真実を次世代に継承する誠実な努力を行うことです。日本政府が在韓日本大使館前の少女像『平和の碑』の撤去を要求すべきではありません」と指摘した。私たちはこの立場から、日本政府代表の今回の発言に抗議し、その撤回を求めるものである。