本土で初 低空飛行
墜落の恐怖再び
3月6~8日、米海兵隊普天間飛行場に配備されているオスプレイ部隊が、配備後初めてとなる本土での低空飛行訓練を行いました。訓練が実施された四国各県や山口県岩国市をはじめ全国各地で、住民の不安や自治体の懸念を無視した訓練強行に怒りの声があがりました。
高知県北部の吉野川上流に位置し、四国4県の「水がめ」となっている早明浦ダム。訓練初日の6日、高知県平和委員会の和田忠明事務局長は、ここでオスプレイを〝待ち構え〟ました。
1994年10月14日、このダムの湖面に、時速800㌔で低空飛行していた米空母艦載機が墜落し、乗組員2人が死亡する事故が起こりました。付近には役場や保育園もあり、あわや大惨事となる事故でした。
「低空飛行訓練の怖さを最も知っている住民の上を、欠陥機オスプレイの最初の低空飛行訓練の場所として選んだことが許せない」と和田さんは憤ります。
この日、マスコミの取材に応じた尾崎正直知事も「早明浦ダムへの墜落事故があったにもかかわらず、安全性が十分確認されていない機体を飛ばすというのはどうか」と訓練を批判しました。
和歌山から徳島、高知、愛媛にかけて米軍が設定している米軍機の訓練ルート「オレンジルート」では、日常的に低空飛行が行われ、住民は騒音被害や墜落の恐怖にさらされています。いつもは、早明浦ダムを目標に見立て、本山町の市街地のすぐ近くを飛ぶ米軍機ですが、この日のオスプレイは、市街地から離れた山間部上空を飛行。そのため、早明浦ダムで監視していた和田さんたちは、オスプレイの機影を確認することはできませんでした。
翌日からは、6日にオスプレイが飛んだ、早明浦ダムから北に10㌔ほどの標高約750㍍の山間部に移動して監視を続けました。結局、オスプレイの飛行を確認することはできませんでしたが、米軍のジェット戦闘機がたびたび爆音を轟かせながら低空飛行しました。
「山の尾根スレスレに超高速で飛んでいくので、機体を目で追いかけることもできませんでした。近くで林業をやっている人は『木材搬出用のワイヤーを切られるのでは、といつも冷や冷やしている。この上、さらにオスプレイまで飛ばれたら・・・』と不安を口にしていました」(和田さん)
本山町の今西芳彦町長は、記者会見でこう怒りをぶつけました。
「これまでくり返し訓練中止の申し入れをしてきたが、住民の安全、声を無視する形で到底受け入れられない」(平和新聞2013年3月15日)